- 西岡武夫君 本日の審議は日本学術会議法の改正でございますけれども、私はあえて、大変御多忙な中に日本学士院の長倉先生にお見えをいただきまして御高見を承りたいと思って委員長にお願いをした次第でございます。
長倉先生におかれましては、大変御多忙な中、誠にありがとうございます。感謝いたします。先生も御多忙と思いますので、初めに長倉先生に御意見を承らさせていただきたいと思います。
私は、かねがね、日本の科学の発展のためには、日本学士院と学術会議と、それと性格はちょっと違いますけれども今回独立行政法人になっております日本学術振興会、こうした組織を一本化して、先ほど有馬委員の御質問にもございましたけれども、政府から予算的な支援は受けるけれども、その存在そのものは政府から独立しているという組織にする方が望ましいのではないかと、こう長い間考えてきております。
このことにつきまして長倉先生の御高見を拝聴いたすことができれば幸いと思います。
- 参考人(長倉三郎君) 日本の科学技術の推進の根源にかかわる一つの大きな問題を御提議いただいたわけでございまして、この問題について、私、考えておりますことを述べさせていただきます。
日本学士院の現在の活動につきましては、ここで改めて申し上げるまでもなく、西岡先生、文部大臣の御経験、御活躍等を通してよく御存じのことでございますので、省かせていただきたいと存じます。
ただ、現在、日本学士院は碩学の府という形で、学術志向の活動を優れた会員の学識経験、高い識見等を通して、国内的な面及び国際的な面の両面において活動を続けているわけでございます。具体的な活動の内容は省略をさせていただきますけれども、学術志向の活動を続けておるという点で、日本学術会議の言わば政策志向の活動とはその目的、機能等において異なっているというふうに理解しているわけでございまして、そうした面から、この二つの機関はそれぞれ日本学士院法、日本学術会議法等によりまして独立して設置されているというのが現状でございます。
現在、科学技術あるいは学術自身も大きな変革の流れの中にございますので、そうした中で日本学士院もこれからどういうふうな目的に沿って活動し、機能を発揮するか、これはもちろん日本の学術の発展に対して貢献をできるだけいたすということが我々の目的でございますが、具体的にどのような活動を続けていったらよろしいかというふうなことで、私、院長に就任いたしまして、内部に将来問題検討委員会というものを作りまして、今審議を続けている段階でございます。したがいまして、今、先生のこの大きな御提案に対しまして私から現段階でこういたしますというお返事はできないということを御理解いただきたいと思います。
特に、この学士院の会員は独立不羈の精神が大変旺盛な方が多いわけでございまして、これは学問のうんのうを究めるという面では大変大きな意味があるわけでございますけれども、しかし、会議で全体の意見をまとめるというふうな面におきましては、院長としては大変苦労しなければならない問題であるということでございまして、この点は西岡先生にも御理解いただける点があるのではないかというふうに存じているわけでございます。しかし、今後、この将来問題検討委員会等を通しまして、先生の御提案の点につきましては慎重に内部でも検討させていただくということで進めていくことはできるかと存じておりますけれども、いずれにいたしましても、この独立不羈の精神の高い、そういう会員の表れであるということで慎重に審議いたしまして、しかもそう簡単には結論が出ないのではないかというふうには考えている次第でございます。
それから、私、実はこれまで日本の学術体制の中で、例えば総合研究大学院大学を作るとか、岡崎の機構、研究機構を作るとか、いろんな面で新しい試みを進めてまいったわけでございますけれども、その際に私が常に念頭にございましたのは、学術関係の組織については適正規模が重要であるということをいつも念頭に置いておりました。余り大き過ぎてもいけないし、余り小さ過ぎてもいけない。小さ過ぎれば家族的になりまして相互批判が十分行われないというふうな面が実際にかつて大学附置の研究所等であったわけでございます。大き過ぎますと、これは目的があいまいになりまして、未来、未知の知識を探求するというふうな面から申しますと、必ずしも効率のいい成果の上がる形にならない場合もあり得るというふうに考えておりまして、そうした面で適正規模が重要であるということを私は自身の経験から申しまして強く感じている次第でございます。
そういう面から申しまして、この三つを合わせることが適正規模であるかどうかと、これは目的とかあるいは組織等によるわけでございますけれども、そうした面からも慎重に検討する必要があるというふうに考えておる次第でございます。
今後、私自身もいろんなアドバイスをいただきながら、この問題については慎重に検討をしたいというふうに考えておりますということを申し上げたいと存じます。
どうもありがとうございました。
- 西岡武夫君 私がなぜこういう問題を提起しているかと申しますと、なかなか、先ほど有馬委員からもお話がございましたように、科学の振興のための費用というものは最近でこそかなり予算が増えてきておりますけれども、私が非常に鮮明に記憶をいたしておりますのは、昭和五十年、一九七五年でございましたか、当時私は与党の文教関係の責任者でございまして、坂田文部大臣のときに私は政務次官をさせていただきまして、そのときから五年ほどたって、いろいろと科学研究費の増額のために坂田先生と一緒に努力をいたしまして、私の記憶では一九七五年、昭和五十年にようやく二百億円台に、多分有馬先生、有馬委員は御記憶と思いますけれども、大台に上がったと言って、坂田先生と私ともう一人だれか、当時の文部省の幹部と三人で喜びの宴をしたという記憶がございます。
そういう経験からいたしまして、日本の、これは文系も理系も含めて、科学の振興のために最高の権威はここなんだという、そういうものがきちっと存在をするということが必要なのではないかと。長倉先生おっしゃったように、確かに組織には適正規模というものがあると。これは、私も自分自身の体験からいっても十分そのことは理解いたしますけれども、いろいろなところにいろいろな機関が存在をしていることによって、これだけいろんな分野で、科学、特に自然科学の分野における研究というものが我々が想像している以上に進んできている。それを考えますときに、哲学という問題になるわけでございますけれども、先ほど有馬委員からもお話がございました脳死の問題のときに、実は私は、臓器移植の法案が提案されたときにこれに反対をいたしました。反対の投票をいたしました。これはまだ日本において、あるいは人間がそのことに対して踏み込んでいいのかどうかということに対して疑問を持っていたからでございます。
もう一つ経験がございますのは、たまたま私が文部大臣に就任をいたしましたときに、ヒトゲノムの解析に対して、文部省として正式にこの研究に取り掛かるかどうかということを決定するという場面に私は遭遇をいたしまして、かなり私はそのときに考えたわけでございます。確かに世界的に、当時、ちょうど平成元年でございましたから世界的に日本は後れていると、これを何とかして早く追い付いていかなきゃいけないということで、これに取り掛かることを急がなければいけないという、そういう状況下にあったわけでありますけれども、行き着くところは、もちろんヒトゲノムの解明によっていろいろな人間の、難病などが治っていくとかいろいろな問題が解明されてきているということにもつながるわけでございますけれども、一方でクローン人間というものが想定をされると。
そういうことを考えると、日本の、正に今、長倉先生がおっしゃったように、日本の碩学と言われるような方々がこうした問題についてどう考えられるのか。適切な時期に適切な発言を権威ある立場でおっしゃっていただかなきゃいけないと。そういう意味では、これはヨーロッパ等においては、私の知る限りでは少なくとも日本学士院のような組織が科学全体を見ているという組織だと思うんです。こういうようなことを考えたときに、今のような日本の、確かに適正規模という点からいうといろいろ問題があるかもしれませんけれども、この機関、この皆さん方がこうおっしゃるならばそれは正しいのであろうと国民も納得するという、そういう権威ある機関というものがやはり必要なのではないか。
そういう点で、私はあえて、日本学術会議法の改正の審議でございますけれども、学士院の院長であられる長倉先生にお見えをいただきまして、そういうもの、そういう機関というものが今正に求められているのではないかと、そういう意味で御質問をしたわけでございます。この点についてはいかがでございましょうか。
- 参考人(長倉三郎君) 分散と集合ということがあろうかと思っております。そして、この分散と集合というのは、目的とか機能、それから置かれておる背景等によりまして、調和を保ちながら適当に進められるということが大変望ましいと考えております。
したがいまして、今の問題につきまして申しますれば、学士院といたしましては、学術の基礎にある、学術研究の基本的な考え方あるいはその背後にある精神、これはギリシャ哲学とかキリスト教の考え方とか、そういったものが基本にあるわけでございますけれども、そういったものについて十分な検討をし、それを伝統として根付かせながら、その下で新しい創造を加えていくというふうな面で、日本の学術における継承と創造ということに対して学士院は大いに力を振るいたいというふうに考えておるわけでございます。
そういう面から申しまして、ただいま西岡先生から御指摘のような点につきましては、これは会員個人個人、専門的な立場から意見を持っておるということは私もいろいろ聞いておるわけでございます。学士院の中でそういう議論もございます。しかし、これをまとめた形として政府にいろいろ勧告し、お願いするという点につきましては、これは正に日本学術会議の役割ではないかというふうに私自身は考えております。
ただ、この問題につきましても、御提案のとおり、学士院として、もし日本学術会議の活動に対して協力する必要があるというふうな判断をした場合には、当然そうした面について意見を提示するというふうなことはしなければならないかと思っておりますけれども、少なくとも現在、現段階においては、今お話しのような問題につきましては、日本学術会議の方で十分御審議の上、政府に対して勧告をされるとか、あるいはいろいろな意見を出していくというふうなことがむしろ望ましいことではないかなというふうな気持ちを持っておりますということを非常に率直に申し上げさせていただいて、そんなことで失礼いたしますが。
- 西岡武夫君 これは短時間で答えの出る課題ではないということは私も承知をいたしております。しかし、日本学術会議自体も、先ほど申し上げましたように、政府からは財政的な支援は受けるけれども独立した機関であるべきであると私は思っております。ところが、もちろん議会制民主主義の下における内閣総理大臣に権限を集中しようという今の小泉政権の考え方は私は反対ではありません。責任を持つという意味で反対ではありませんけれども、学問の分野についてそういう方向というのはいかがなものかなと、このように考えております。
そこで、日本学士院の皆様方がこうしたことについてどうお考えなのかなということを感じたために、御多忙の中、長倉先生にお見えをいただきまして、私のこれまで考えておりました考えの一端を述べさせていただいて先生の御高見を承ったわけでございますけれども、是非、今のままの学士院の姿というのは、元々学士院の目的の中にも日本の学術の振興のためにいろいろなことをやるんだということが書いてあるわけですから、それをもっと広げていくということが必要なのではないかと。そういうことを考えますと、日本学術会議自体も、これも先ほど有馬委員が御指摘になりましたように、余りにも予算が少な過ぎると。
そういうことも含めて、学士院の会員の皆様方が存在をし、そしてその下に日本の若手も含めた各分野の正に活躍される方々、そういう方々が配置されて日本、まあ名前はどういうことになるか分かりませんけれども、そういう組織を作る方が望ましいのではないかという意味で御質問をさせていただいたわけでございます。
是非御検討をいただきたいということをお願いをいたします。
本日はありがとうございました。
- 参考人(長倉三郎君) 先ほど科学研究費のお話等、私、大変懐かしく実は拝聴させていただいたわけでございます。二百億を突破して千億に、大台に乗るというところまで大変御貢献をいただいたわけでございまして、そういう御貢献に対しては感謝いたしたいという気持ちが一杯でございます。これは有馬先生も大変御活躍いただいた問題でございまして、研究者にとっては大変大きな影響を与えたことでございます。
それで、今の先生の御提案につきましては、先ほど申しましたように、日本学士院として、将来問題検討委員会等が今動いておりますので、そうした面も含めて検討をさせていただくということ、慎重に検討させていただきたいというふうに申し上げたいと存じます。
どうもありがとうございました。
- 委員長(北岡秀二君) 長倉参考人、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございますので、どうぞ御退席ください。
- 西岡武夫君 大臣にお尋ねをいたします。
今回、法律をこうしてかなり大きな改革をされるわけです。内容、中身につきましてもかなりの改正の部分があるわけでございますけれども、日本学術会議法の前文をなぜ手を付けられなかったのか、お尋ねをいたします。
- 政府参考人(吉田正嗣君) 日本学術会議法には前文というものが付いておるわけでございますが、この前文に書かれております趣旨は、現在もなお当時と共通するものがあろうかと思います。特に今回の法律改正によりまして前文を改正するといったようなことは必要ないという判断から改正いたしておりません。
- 西岡武夫君 それではお尋ねいたしますが、前文にございます「わが国の平和的復興」というのは現時点においてどういう意味を持っているんでしょうか。
- 政府参考人(吉田正嗣君) 日本学術会議法が制定されました昭和二十四年当時におきましては、先生御指摘のように、第二次世界大戦後の日本の復興、経済的復興、平和的復興、文化的な復興、こういったものを隊げなければならないと、そういう強い趣旨が込められておったように思います。
しかし、現在そのことは非常に達成されておるわけでございますが、必ずしもすべて終わったと、いつかの時点で終わるというものではないのではないかと考えております。そういった考え方、理念は今後も受け継いでいく必要があるという考え方から改正しておらないというものでございます。
- 西岡武夫君 これはちょっと意外な御答弁でございまして、大臣にお尋ねをいたしますが、この「平和的復興」とはどういう意味でしょうか。
- 国務大臣(茂木敏充君) 我が国の経済社会が戦争のない、そういう平和な中に復興を隊げていくと、文章に書かれているとおりだと、こんなふうに考えておりまして、そういった気持ちというのは今後も我が国の科学技術の振興の中でも生かしていく必要があると、そういうふうに思っております。
- 西岡武夫君 それでは、今の日本の社会は依然として敗戦状態で復興していないということでしょうか。
- 国務大臣(茂木敏充君) 私、社会の発展というのは、ある程度の段階がこれが完全な段階だと、こういうものはないと思っております。例えば、今新しいIT革命と、こういうものが起こっているわけでありますけれども、正にこれは日進月歩の世界でありまして、そこの中にあって新しい目標を達成する、そのために様々な改革を進めていくと、こういうことはどの時代にあっても要請をされることではないかなと、こんなふうに考えておりまして、次のステップに向けてどういった努力をしていくか、またそういった中で学術の力をどう使っていくかと、このことにつきましては、堂々問い掛けが必要な大きな課題だと思っております。
- 西岡武夫君 今、大臣が言われたことは私の質問とはちょっと違った御答弁で、今、大臣がおっしゃったようなことをなぜこの前文に、復興ということではなくて、書き換えられなかったんでしょうか。
- 政府参考人(吉田正嗣君) 法律の前文は制定当時の法律制定意思、立法意思、そういったものを書いておるものだと思いますが、その意思自体は今日もなお継続しておるものという考えの下にこの趣旨、前文を改正しないということにしたものでございます。
- 西岡武夫君 これはまた異なことをおっしゃる御答弁だと思いますけれども、今、小泉政権の下で憲法を改正しようという方向、また教育基本法を改正しようということを小泉政権は明言をされているわけです。
そういう中にあって、法律の前文は立法の趣旨であるからこれは変えられないというのはどういうことなんでしょうか。
- 政府参考人(吉田正嗣君) 法律改正の技術的なことで申しますと、通常の内容、今回の改正は一部改正でございますけれども、法律全体を廃止するとか、あるいは新しく制定するとか、そういったものではございません。こういった場合には、通常この前文というものはそのまま存置するというのが通例だというふうに私自身理解しておるわけでございますし、またこの前文自体も、現在の時点におきまして間違っておるというものではございません。引き続き、この立法の趣旨に沿ってこの学術会議法を施行していくということが必要であろうかと思いますので、改正ということはいたしておらないわけでございます。
- 西岡武夫君 余り、こういう問答は余り好きじゃないんですけれども、我が国の平和的復興という問題と、先ほど大臣が御答弁になった人間の進歩というものも定義が必要でございますけれども、発展には、社会の発展には限りがないと。常に進歩、発展しなきゃいけないと。これにも、発展にもいろいろあるわけですけれども、それと、少なくとも日本の言葉として復興という言葉は違うんじゃないんですか。
それは、その技術的な、法律の技術的な問題という問題じゃなくて、法律を改正するときに、そのときそのときに合った、時代に対応した法律改正をするというのが法律改正で、こうして国会で審議をする意味なんですから、正確に答えていただきたい。
平和的復興は済んでいないとお考えなんですか。
- 政府参考人(吉田正嗣君) 法律改正の技術的な点につきましては、この改正ができないということを申し上げたわけではございません。今回の改正の内容がこの前文の改正にまで及ぶ必要のあるものかどうかという判断をした上で改正をしないということにしたものでございます。
この平和的復興の趣旨につきましては、この日本学術会議が設立されました当時、戦後、日本の復興を図るためには科学の振興が非常に重要であるという強い趣旨がありまして設立されたものでございます。そういった考え方は、今後の日本におきましても科学の重要性というものは変わらないわけでございますので、そういった意味も込めましてここに引き続き書かれるということでございます。
- 西岡武夫君 こういう問答をしていてもちょっとしようがないんですけれども。せっかくこれ、総理大臣の直轄にこの日本学術会議というものがなるわけでして、そういう法律改正をするわけですから、私はやっぱりこの時点における言葉の使い方というものも私は大事だと思うんです。大臣、そうお考えじゃありませんか。
- 国務大臣(茂木敏充君) 法律における、私、言葉の使い方というのは、委員のおっしゃるとおり大変重要だと思っております。同時に、私は、そういった趣旨というものは更に重要なのではないかなと。科学技術が文化国家の基礎であると、こういうことを明確に書き、その国の発展のために科学技術というものが必要なんだと、そして国だけではなくて、前文にありますように、この世界の人類の福祉に貢献をする、さらには国際的なコミュニティーともしっかり連携をしていく、そういう趣旨をいかに具体化するかと、このことが今、正に問われている一番重要な課題だと考えております。
- 西岡武夫君 大臣はお答えいただけないので、この問題はもうこれで止めます。
もう一点、今回、今まで七つの部門に日本学術会議の中のそれぞれの学問分野が分かれていたわけでありますけれども、これを三分野にされた趣旨はどこにあるんでしょうか。
- 国務大臣(茂木敏充君) 現在の科学を考えますと、様々な融合領域というのが出てきているということでありまして、物理は物理であったり化学は化学であると、そういうことから、いろんなものを包含した研究から新しい成果を生むと、こういう時代に私は入っているんだと思っております。
そういうことも踏まえまして、総合科学技術会議の意見具申におきましては、科学の新分野の成立や分野の融合に柔軟かつ的確に対応できるよう、現行の七部制を二部制又は三部制に大ぐくり化することと、こういうふうにされたわけであります。
これを受けまして、日本学術会議において検討いたしました結果、近年、生命科学の進歩が著しく、学問の分野において大きな比重を占めていることから、人文科学、生命科学、理学及び工学、それぞれを中心とする三つの部に区分する三部制とすることが適当とされたものであります。
- 西岡武夫君 私も、この時代の大きな変化とそれぞれの学問分野が大きく変化してきている、そういう意味でこういうふうな形に改正するということについては特に異議はございません。
一つ大臣にお尋ねをいたしますけれども、私どもが学生のころ、学問というものは哲学に始まり哲学に終わるということをある教授から教わったことがございます。大臣はどうお考えでしょう。
- 国務大臣(茂木敏充君) 哲学というのは非常に重要だと考えておりまして、中世の学問におきましても四つの大きな分野、医学、そしてまた法学、神学、哲学と、これが四つの分野でありまして、正に哲学の世界、博士でいいますとPh Dと、ドクター・オブ・フィロソフィー、そこの中に、例えば経済学であったり政治学であったり歴史も包含すると、そういう非常に理念的にも広い学問分野だと、こんなふうに考えております。
先ほど三つの分野と、人文科学であったりとか生命科学そして理学、工学、そういう大ぐくりの話をしましたけれども、私はそれぞれの分野に哲学というものは必要なんではないかなと、こんなふうに考えておりまして、先ほど委員から脳死のお話、そしてヒトゲノムのお話あったわけでありますけれども、正に生命倫理をどう考えるかと、ここにつきましても哲学が問われる問題だと、こんなふうに理解をいたしております。
- 西岡武夫君 日本における、あるいは世界と申し上げてもいいと思いますけれども、哲学の置かれている現状はどういう状況か、大臣の御認識をお伺いいたします。
- 政府参考人(吉田正嗣君) 大臣がお話しされましたが、すべての分野において哲学は非常に重要であるという考え方は現在も同じであろうと思いますし、日本、我が国におきましても世界におきましてもそういった考え方が取られているのではないかと考えております。
- 西岡武夫君 いや、そんなことを聞いているんじゃないんです。日本における哲学の現状をどうお考えなのかと。哲学という学問が実際問題としては私は非常に存在自体が危なくなっているというふうな感じさえするんです。それをどうお考えかとお尋ねしているんです。大臣にお願いします。
- 国務大臣(茂木敏充君) 文部科学大臣でありませんので、どう答えていいのかという部分はあるわけでありますけれども、最近の学生を見ていると、私も同じようなことは感じます。
私、先ほど先生が一九七五年に二百億円を突破したと、そういうお話聞きながら、ちょうど私そのころ大学の学生でありまして、まだ学生の間でも哲学の本を読んだりとか、そういう議論をする機会というのは多かったんじゃないかなと。私も時々最近の学生と話をする機会ありますけれども、そういう哲学書を読んだりとか、そういう機会というのが減ってきているような気もいたしまして、それを専門的にじゃどう専攻していくかと、こういう課題もあるわけでありますけれども、冒頭申し上げましたように、哲学の重要性というのは古今東西変わらないものでありますから、それがしっかり生かされるような教育、これは検討が必要だと思っております。
- 西岡武夫君 ちょうど時間となりましたので終わりますが、今日、学士院の長倉院長にお見えをいただきまして、私が、日本学士院と学術会議と、そして独立行政法人日本学術振興会、これを一本化すべきであると私は思うということを申し上げたわけでございますけれども、大臣はこのことについてどう受け止められたか、御感想を承って、質問を終わります。
- 国務大臣(茂木敏充君) 日本のアカデミーが独立性を担保すると、このことは極めて重要だと私は思っております。また、先生が一貫してこの一本化について強い御持論をお持ちだと、こういうことも伺っておりまして、今日は先生の御意見も拝聴した次第であります。
将来的には、日本のアカデミーの姿につきましては、常にあるべき姿というのを検討していくことが必要だと、こんなふうに感じました。