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 西岡武夫の国会活動

参議院文教科学委員会会議録

平成16427


○西岡武夫君 大臣にまずお尋ねをいたしますが、今回の私立学校法の一部を改正する法律案は、もしも私学振興助成法という法律がなくて私学に対する助成が行われていなければ、この改正は必要なかったんでしょうか。
○国務大臣(河村建夫君) 私学助成が全く行われてなくてという観点からいっても、そうなっておった段階で今の私学の位置というのがどういう位置付けになっておったか、これほどの、八割の、大学において八割、幼稚園において八割という、大学では七五%と言っておりますが、こうした大きな地位を占めるに至ったかどうか、その点の前提がいろいろありますけれども、しかし、いずれにしても、学校教育において私学の果たしている役割というのは非常に大きいものがあるわけでございますから、それをやっぱり活性化していく。
 そして一方では、国立大学の法人化という問題がございます。これについても、御案内のように、評価を受けて、そして開かれたものにしていくということから考えますと、私立学校の在り方も、当然公教育を担っている面からいえば、国民に説明責任もございますし、また、いわゆる国民に対する説明責任からしても経営の透明化ということも当然問われてくるものであろうというふうに思っておるわけでございまして、公教育の担い手であるという観点からすれば、私はこの私立学校も活性化をしていく必要があると、こう思っておるところでございます。
 ただ、全く助成がない場合のということを考えたならば、この法案の中身も若干、私学審議会の在り方とかそういうようなことで法案も変わる部分は当然あったろうとは思いますが、基本的には私立学校の活性化ということは必要であると、こういうふうに考えております。
○西岡武夫君 私がなぜそういうことを申し上げたかと言いますと、現在の文部科学省、組織として、大臣は十分、与党自由民主党の中での文教政策の経緯については十分御承知であろうと思いますから、むしろ私学部長にお尋ねをした方がいいと思うんですけれども、この私立学校法の改正を行うに当たっては、私学振興助成法というものを論じなければこれは全く実質的な審議にならないと思うんですね。
 そういうことを考えますと、これは理事会で決まったことでございますから致し方ないんですけれども、この問題はかなりこの委員会で深く議論をしなければいけない、今日採決されるということでやむを得ないんでございますが、そういう課題であろうと思いますし、是非、委員長におかれては、この法案が成立後も私学の在り方について十分な審議の時間をお取りをいただきたいということを冒頭にお願いを申し上げておきます。よろしくお願いを申し上げます。
 そこで、私学部長にお尋ねをいたしますけれども、そもそも私学振興がどのようにして誕生したかということをどのように御承知でしょうか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 私学振興助成法の制定を中心とした私学助成の経緯と申しますか、歴史のようなことについてのお尋ねと受け止めて説明をさせていただきます。
 今の私学振興の中心になっております私学振興助成法でございますが、法律にも書かれておりますように、私立学校における教育条件の維持向上及び学生等の修学上の経済的負担の軽減、そして私学の経営の健全性を高めることを目的、この三本を柱にいたしまして、昭和五十年に制定されたわけでございます。
 もちろん、これ以前にも予算補助等として私学助成があったわけでございますが、この法律の成立を見て画期的に私学助成が拡大していく、拡充していく大きな礎となったのは明らかだと思っております。
 この法律ができました背景としましては、もちろん私学関係者の長年の希望があったわけでございまして、関係議員、与党の関係議員、文教の先生方にも大変御熱心な働き掛け、御議論、御検討を経た上で議員立法により成立したものでございます。そう承知をいたしております。
 ちょうどこの、少し長くなって恐縮でございますが、五十年に法律成立に至ります過程としまして、その背景としましては、昭和四十年代後半におきまして、人件費の高騰でありますとかいわゆる石油危機以来の物価の上昇等がございまして、これが私学経営に大変大きな打撃を与えておったわけでございます。
 もちろん、私立学校は設置者で経営努力をすることが大原則でございますから、いろいろ大汗をかかなければなりませんけれども、私立学校の努力のみでは私立学校における教育研究条件の維持改善を図ることはこの四十年代後半においては言わば困難になっておった、特に私学にとっては大変苦しい状況に置かれておったわけでございます。そこで、先ほど申し上げた私学の関係者間で私学助成についての法律の、独自の法律の制定を求める声が高まっておったわけでございます。
 この状況の中、与党、当時の与党自民党文教部会においては、昭和四十八年に私学助成に関するチームを設置をされまして、五十年以降の私学助成について様々な検討を重ねられたわけでございます。
 具体には、四十九年の二月には私学助成についての中間報告二次草案というものが公になってございますし、その後、五月には私学振興助成法案の要綱というのがこのチームによって取りまとめられたわけでございます。さらに、六月には、自民党文教部会、文教制度調査会の連名によりまして私学振興の骨子を含む教育改革第二次試案が発表されたと、こういう経過があったわけでございます。
 しかも、この私立学校振興助成法につきましては、先ほど申しました私学助成チームあるいは文教部会におきまして、法体系あるいは法全体のありようにつきまして条文に至るまで何度も検討が重ねられたと聞いておりますし承知をいたしておりまして、この間、何より私学関係者の意見も十分意見を聴取をいたしましたし、課題であります財政当局との難しい調整も大変な努力を関係者が払われて、特に文教の先生方の御努力によって調整が図られたわけでございます。
 以上の経緯を経て、大変雑な経過説明になったかもしれませんけれども、最終的に財政当局との調整あるいは党内での最終調整がまとまりまして、昭和五十年六月の通常国会終盤において自民党による関係の、これは西岡先生も含まれておられますけれども、提出議員として含まれておられますけれども、議員立法として私立学校振興助成法が提案され、速やかに審議が進められて成立をされ、五十一年四月から施行になったわけでございます。
 こういった私立学校振興助成法の制定経緯を踏まえまして現在の私立学校に対する助成の拡充、充実の礎ができたものと、まず一番大事なポイントはここにあると私は理解をしておるわけでございます。
○西岡武夫君 その間、今私学部長が御説明になったことは必ずしも正確ではないんで、この私学振興助成法を策定する過程の中で、当時の非常に力を持っておられた私学の関係者が非常な反対をされたという経緯を御存じですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 詳細には存じておりません。存じておりません。
○西岡武夫君 実は、今部長のお話に全くなかったのであえて私から申し上げますけれども、昭和四十五年までは、当時文部省は全く私立学校に対しては財政的にも無関心でいたわけです。私学振興会という組織があって、そこが言わば現在の国民生活金融公庫のような役割で私学に対して資金を貸していたという、そういうことだけをやっていたわけで、組織、文部省としては全くこの私立学校に対して経常費を助成するという考え方は全くなかったんです。そのことを御承知ですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) はい、委員御指摘のように、私立学校振興会が二十六年に設立されまして、私学にとって終戦直後の戦災復旧など資金の融資が求められたときにこの振興会が中心になってその役割を果たしたということを存じておりますし、それから、先生、昭和四十五年に経常費助成の開始があって、それまでは十分でなかったというお話がございましたが、それ以前には、国庫補助制度としては施設設備、研究設備を中心による補助制度はございましたけれども、何種類かございましたけれども、経常費の助成につきましては初めて昭和四十五年に開始されるわけでございまして、それまで経常費について十分ではなかったというのは先生御指摘のとおりでございます。
○西岡武夫君 小一時間の間でいろいろと御質問申し上げるのは非常に困難なんですけれども、これからの私学の在り方等を考えるに当たって基本的な認識が非常に大事であろうと思いますので、あえて過去にさかのぼっているわけでございますけれども、今部長がお話しの昭和四十五年に初めて経常費の助成が行われたと。何で行われたと思いますか。御記憶でしょうか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) どういう目的でというお尋ねでしょうか。
○西岡武夫君 目的ではありません。
 なぜ昭和四十五年に大学に対する経常費助成というものが、当時百三十二億という金額が何の法律の根拠もなしに予算化されたわけですね。これが初めてなんです、経常費助成というのは。これがなぜ行われたか。簡潔で結構です。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 先ほど申しましたように、昭和四十五年以前の国の私学助成と申しますのは経常費ではありませんで、物件費、研究設備等の助成が中心だったわけでございます。これが何種類かございましたけれども、四十五年のこのときを契機として、私学関係者からの要望が強くあったと私は理解をしておりますけれども、従前の各種の補助制度を統合又は拡充をいたしまして人件費を含む経常費に対する補助が強く求められたわけでございまして、ここで従前の補助金をまとめまして私立大学等経常費補助が新しく作られた、創設されたものと理解をしております。ただ、同時にこの補助金を執行するための組織も設立されたことも承知をいたしております。
○西岡武夫君 文部科学省がそういう御認識だと、全く私学振興助成法というものがどうやって成立したかという経緯を御存じないということになります。
 私はちょうど政務次官をいたしておりましたから、坂田文部大臣の下で大学紛争というものを体験をいたしました。そのときに、なぜ百三十二億という一般の経常費助成を行ったかというと、これは私立大学の関係者からの要請というよりも、むしろ各大学、私立大学が授業料を値上げするということをきっかけにして大学紛争が更に拡大をすると、そういう状況の中で私立大学が、これは国立大学も全部の、全国の大学を覆った大学紛争だったんでございますけれども、私学の授業料を値上げすることが全くできなくなってしまったと。そういう状況の中で、正に政治的な決断として百三十二億という予算が組まれたと、これが実態なんです。そのことをお聞きになっておられないんですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 大変説明に舌足らず、不足がございました。
 委員御指摘のように、背景としては私学から見て国公立と私学の間にあるその教育格差を何としても解消したいという思いがあったと思いますけれども、先生おっしゃいますように、四十年代後半に発生した大学紛争、特に私学の場合には授業料値上げの反対に端を発するケースが大きな事件になりまして、この問題、すなわち大学紛争、授業料の問題に解決を、決着を付けなければ私学経営に大変重大な問題になるという危機意識が関係者にあったことも私は承知をいたしております。
○西岡武夫君 関係者じゃないんです、政治の側にあったんです。
 そういうことで、あえて法律に基づかないで経常費助成が行われたと。そして毎年、私学振興助成法ができるまでの間、予算化されてきたわけですね。ところが、私どもにとっては、当時、このままで行くと、予算措置だけであるといつになってこれが終わってしまうか分からない、根拠がないじゃないかということで法律を作ろうということになったわけであります。
 これは是非、大臣始め文部科学省の組織として御認識をいただいて、これからの私学振興についての考え方をきちんと取りまとめていただきたいと思うんですけれども、私学振興助成法を作ろうということを決断をいたしましたのは、私自身が当時の自民党の文教政策の責任者として取り組んだときに、大学だけでこれを済ませるわけにはいかないと、私学というのは幼稚園から大学までを含んで初めて私学振興助成ということになるんだと。
 ところが、ここに大きな問題が起こったわけです。
 義務教育について、これは国が責任持ってきちんとした、設備も定員もきちんと受け入れられる状況になっているんだから、私学については、まあ勝手に私学に行かれることについてはこれは御自由なんだから、小学校、中学校まで助成するというのはおかしいと、そういう議論がございまして、それでは私学振興にならないというのが私の考えでございました。
 これは決して、今部長がおっしゃったように私学の関係者からの強い要請ではなくて、昭和四十七年に、今日午前中おいでをいただきました中高の私学の会長、前会長だったと思いますけれども堀越さんが、四十七年だったと思いますが、私がその全国の大会に出席をいたしまして、皆さん方がそのことを望むならば、小学校、中学校、高等学校、大学、幼稚園、全部含めた私学振興助成を何とか作りたいということで、その運動を促して、そして国会に法律を提出するところまで参りました。そのときに一緒に取り組みましたのが、一昨日惜しくも亡くなられました三塚博さん、そして引退をされました藤波孝生さん、現在の衆議院議長の河野洋平さん、そして前総理の森さん、それと私とでこの法案を取りまとめをしたわけであります。
 ところが、元々、私学について法律を作るとなりますと、私学振興助成法を作るということになりますと、当然国民の皆さん方の税金を私学に投入するわけですから、それがきちんと会計処理が行われて使われなければいけないと、正に透明化が求められる、不正が行われてはいけないということで、ぎりぎり補助金についての使途についてこれを明確にしてもらわなければいけないということで法律を組立てをしたわけであります。それでも、冒頭に申し上げたように、私学の関係者の皆さん方の中にはそういう法律作ってもらっちゃ困ると、そういう中で私学振興助成法というものを作っていったわけであります。
 そういうことを考えますと、これから文部科学省として、そもそも私学とは何なのかと。実は、これは私どもにとっても非常に長い間の懸案でございまして、私学の皆さん方にも、私学というものは一体何なのかと、その定義は何なのかということを幾度となく問い掛けをいたしましたけれども、私も含めて、明快な答えが出ないままに今日に至っているわけです。
 そこで、私学振興助成法を作るときに、どこまで国が助成すれば私学たり得るのかということが大きな議論になりました。まあどんなに多くても二分の一だろうということで、二分の一というふうに原案、経常費の二分の一を助成するという、補助するということで法律の原案は作ったんですけれども、財政当局との間でどうしても折り合いが付かないで、二分の一以内補助ができるものとするというふうに法律を書いたわけであります。
 それともう一つは、第十一条にございますように、憲法八十九条ですか、八十九条との関係で、公の支配に属さないものにお金は出せないということとの兼ね合いの中で間接補助をやったわけです。それが現在の私学振興・共済事業団の前身である私学振興財団だったわけであります。
 ですから、こういう経緯がずっとございますから、これからの私学振興の在り方について、二分の一、一番たしかたくさん経常費の割合からいいますと国が予算化したのは二八%ぐらい、大学の場合は、ではなかったかと思います。そして、高等学校以下につきましては、それぞれの都道府県が行う補助の半分を国が負担するというふうな形で法律を作ったわけです。
 そこで、今回の私立学校法の一部を改正する法律案の中で、私立学校審議会について、これを都道府県の知事にもうほとんどゆだねて、細目は全部法文から削除するというのが大きなこの法律の三つの項目の中の一つですね。
 これをちょっと拝見しますと、どうも文部科学省は、今の小泉政権の下でどんどんどんどん教育費も含めて削減が行われてきている、どうも私学振興についても交付税化の方向に持っていこうとしている、それに合わせているんじゃないかという疑いさえ持つんです。これは大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河村建夫君) 私学振興助成法の在り方と歴史を踏まえて説明いただきまして、私も大学紛争のころ授業料値上げ反対闘争をやった経験がありますが、その裏でああいうことが行われておった、私学がピンチになったということがあった、反対運動、値上げ反対運動を大いにやったことも意味があったのかと思っておりますが。
 そういう意味から、その後、憲法八十九条との関連があって私立学校法がありますけれども、さらにきちっとした支援をすれば私立学校振興助成法が要るということもあってこの法律ができていって、その段階で二分の一までだというお話を私も先輩からお聞きをしておるわけでございます。
 そこで、これから正に国の方向として、小泉改革の中で三位一体論もあったりいたしますが、これは、これは私がこういう立場であるからですが、一般財源化してどんどん教育費も削れという方向にこれ持っていかれたらこれは大変なことでありますから、これはともかく私学助成の在り方、要するに地方分権、そして地方の裁量をいかに増すかという視点からこれはきておるわけでありまして、ただ、国立学校義務教育負担費等の削減なんといいますと義務教育費そのものが削減されるようなイメージという、これだけでも、もう非常にこのことを言い出すことが間違っているんじゃないかという議論も展開しております。
 今回、御指摘のように、今、助成金の在り方、補助金の在り方の見直しということになりますと、おっしゃるように、この私立学校の経常費助成、これも地方に持っていけば一般交付税化と、こういう話が出るわけであります。事実、政権交代したときに、先生向こう側におられたと思うんでありますが、あのとき、赤松大臣のときにこれを一般交付税化しろというのが随分出て大騒ぎになって、我々も大変だというので、五割カットということがあったわけですね、それを我々、それは困るというので、結局七五%まで引き戻してもらったという経緯がございますが。
 こういうことから考えますと、やはり私学振興を考えたときに、交付税化するということは、それぞれの自治体の考え方によってどうにでもなると。自由裁量はいいけれども、それによって増やすことも減すこともできるということでは本来の私立学校の使命を果たせないだろうという思いが私も非常に強いわけでございまして、これから三位一体論の中で次はこの話も当然出てくる可能性もあるし、もう現にささやかれていることも知っておりますが、これはやっぱり私学振興を、日本の国における私立学校の在り方、これはそもそも論、正に教育論、これをきちっと踏まえてこの議論に立ち向かっていきませんと、ややもするとその中に流されてしまう懸念、これは、非常に我々としてこれを認めるわけにいかない。きちっとした教育論を打ち立てながら、私学振興の在り方というものをきちっと打ち立てて臨んでいかなきゃいかぬ、今、私もそういう思いでおるわけであります。
○西岡武夫君 いや、大臣はそうおっしゃっていますけれども、非常に勘ぐりますと、今回のこの第十条の改正は、非常にもう都道府県知事の方にすべて任せて、細かいことは全部法律から削除してしまって、何か高等学校以下の私学助成については、もう地方にいずれ交付税としてかどういう形か知りませんけれども任せるんだと、文部科学省はタッチしないんだという、そういう布石をここで打たれているような気がするんですが、そうじゃないんですか。
○国務大臣(河村建夫君) この問題は規制緩和等々からきておりまして、私立学校の在り方そのものが、私学団体が私学審議会の中に過半数を持っているということになると、それ以外の参入は一切認めないのかという議論がありまして、この辺については、これはもう私学審議会の在り方そのものだから、どういう形で今後私学の運営の在り方について考えるかということについては、これはやっぱりその認可権を持っている知事の下で判断をいただくべきことであろうということでこの改正を行っておるわけでございまして、そういう意味では地方の裁量性を増すということは事実だろうと思います。
 しかし、根本的に、この私学振興法という法律があり、そして学習指導要領を持ち、やっぱり私学教育の根幹を国が持つということにおいてはこの姿勢は変わらないものでありますし、また、この補助金をどうするかという問題についても、やはり教育の格差是正、そういうものから考えてこの制度というのは維持されるべきものであろうと思っておりまして、ただ、これが見方によってはもうすべて知事の裁量でどうでもなるんだと、こう言われればそのとおりと言えないこともない。正に、その健全な在り方については、認可権を持っている知事が、既にもう私立学校の認可権については知事に移譲されているわけでありますから、その中でやっていただくということがこれは基本線にあるわけでございます。だからといって、私学教育の重要性を国がすべて一律に地方へということには私はならないんではないかと思うんです。
○西岡武夫君 そうすると、大臣は、本来は私立、いわゆる幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院というそういう、あるいは専修学校、そういう学校の区分ではなくて、私立学校全体として文部科学省が責任持つんだと、それが本来は望ましいと、そして大臣としてはそれを守っていきたいと、そうお考えですか。
○国務大臣(河村建夫君) 私は、私立とそれから公立とありますけれども、公立においても教育の根幹は、義務教育の根幹は政府に責任があるんだという考え方、これは教育の、国民すべてに及ぶ教育についてはやっぱり国にその責任、最終責任あるわけでありますから、そういう形が望ましいと考えております。
 しかし、実際に教育を行う現場の在り方、これをやっぱり尊重しなきゃなりませんし、特に私学においては高校以下、知事にその権限が移譲されておるわけでありますから、その現場においてお考えをいただき、その地域の特性、いろんなものを発揮していただく、これが必要なことでありましょうから、そういう方向に向けて必要なものについてはそれは改正をしていかなきゃならぬだろうし、今回の法律改正もその一つがそこにあると、こう考えております。
○西岡武夫君 私がなぜそれを申し上げるかといいますと、この私学振興助成法を制定した後、特に幼稚園の場合に顕著だったんですけれども、幼稚園についての地方交付税の積算基礎、積算基礎というのを大体表に出すというのは交付税じゃなくなってしまうわけですから変な話なんですけれども、これとリンクさせていこうと、積算基礎と国の私学に対する助成とをイコールにしようということで進めていったわけです、実際問題として。そうしますと、都道府県でもうばらばらなんです、幼稚園に対する助成の在り方が。それで結局、地方交付税自体を一体幼稚園については幾ら積算しているのか、どれくらいそれぞれの都道府県に来ているのかということ、全国全部明らかになってしまったんです。そして、それに基づいて、非常に地方交付税制度としてはおかしなやり方だったんですけれども、それを明らかにしてしまった上で、それと私学助成とをリンクさせたという経験があるんです。それを考えますと、今大臣がおっしゃったように、地方自治体に任せていくんだということに小泉政権の方向としてはなるんだということになりますと、私学助成というのが都道府県によって高等学校以下についてはばらつきが出るということが予測されるんですね。これについてどうお考えですか。
○国務大臣(河村建夫君) 確かに、地方の裁量を増す、教育費、地方交付税についてこれは自由に使える、正に、算定根拠はあるけれども、使い道については地方の裁量だと、こういうことになりますと、その首長さんの考え方によって教育に掛ける経費の問題に差があるということは想定されるわけでありまして、これをどのように全体の水準維持を果たしていくかという観点から、むしろ国による補助金というものが一つの核になってきて、これが地方にあって、これに加えてどう考えていくかということ、そのことに県議会なりそれぞれの議会、県においては県議会がそのことに思いをして私学助成を考えていただく、一つのこれが基準といいますか、そういうものになってきて、その役割をこれまでも果たしてきたわけであります。
 だから、そういう意味で、この国庫補助制度といいますか、こういうものがなくなっていって一般財源化ということになると、正にその辺の私学助成が削減されるおそれというのは、これは十分私はあると思いますね。それで、特に学費が上がっていく、そして公私間の格差に差ができる。そうすると、多様な教育選択の機会が失われる。要するに教育の機会均等という観点から問題が起きる。さらに、格差が生じるということは教育の質の低下という問題も起きるであろうということから考えると、やはり今私学助成を行っている国の補助制度というのは、これはやっぱり各都道府県の私学助成を誘導していく意味で、教育政策的にも私は意味があるし、国全体の私学振興の役割、これは国の役割であると、このように考えております。
○西岡武夫君 そうしますと、小泉政権が続けば、この高等学校以下の私学については文部科学省の手から離れるおそれは多分にあると、そういうことですか。
○国務大臣(河村建夫君) 西岡先生言われる、正に完全に交付税化された場合にどうかと、こういうことかと思いますが、これは、そうしますと、正に私学振興助成の誘導策をどういう形で今後担保していくかということをきちっと教育論として踏まえない限り、そういう懸念があることは私も否めないことではないかと思いますね。
○西岡武夫君 そこで、同僚議員の鈴木議員から本会議でも御質問申し上げましたし、この委員会でも意見が出されておりますけれども、この私学振興助成法を作るとき、いろいろと私どもも考えたんです。考えたんですけれども、当時は全く私学の経常費助成というものがゼロでございましたから、緊急避難的に百三十二億からスタートしたお金があっただけですから、これは年々増えましたけれども。そこで、ある程度まで私学に対する経常費助成の予算を獲得できた時点で教育費全体を考え直してみようと。
 すなわち、生涯教育ということもその当時ごろからようやく議論になってきたわけでして、一人の国民がおぎゃあと生まれて死ぬまでの間、一生の間にどれだけの教育費を公が負担するのかということを積算をして、そしてそれをクーポンとして交付するという、クーポン制とも言いますし、バウチャー制という言い方も、いろいろあるんですけれども、そういう制度を導入するということも私どもは当時考えていたわけです。
    〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕
 ただ、財源が全くなかったわけですから。今は私学についてのある程度の一定の財源がございますし、この場合には、国公私立を通じて全体の教育費の負担の在り方について文部科学省としては、こうした、私は小泉改革というのは改革か改悪かよく分からない、反対なんですけれども、こういう状況の中で、非常に今大臣のお話のように、私学振興助成法の中で高等学校以下も分からなくなりそうだということを私も感じておるんで、そうであるならば、この際むしろ文部科学省としては打って出て、バウチャー制度を導入すると。生涯教育という、生涯学習という、教育ではありません、生涯学習という状況の中で教育クーポン制というそういう制度を導入するということを検討するということは、私はやっぱり行政でも政治でも一つの政策を実行していくという場合に受け身に立ったらこれは負けですから、正しいと思えば攻めていかなきゃいけないと私は思うんです。
 そういう意味で、文部科学省としてそういうことも検討の中に入れて臨まれた方がいいのではないかと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(河村建夫君) この教育クーポン、バウチャーといいますか、バウチャー制度の在り方、これについて、我々結論からいいますと、研究課題であるという認識は持っておるわけでございますが、現実にこれを確立してやっていく状況、国際的に見てもこのことの、アメリカ等においてもブッシュ大統領そういう話をされたんでありますが、各方面の反対があってなかなか予算ができなかったという状況でございます。
 それから、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアにおいてもこの制度、実施されていないということもあって、どういう形で教育バウチャー制度を評価していくか、この問題点をどうするかということはもっと考えていく必要があろうと私は思っておりますが、私立学校が入学選抜制度をやっている中で、正に教育機会、学校選択の幅に結び付くのかどうかというような問題、それから発券業務の問題、それから教育バウチャーによる教育機関の競争が教育機関の格差を生むんではないかとか、教育全体の活性化にこれがつながるのかという問題がまだきちっとした点において一つの統一した考え方になっていないということがございます。そういう面で、この教育クーポン・バウチャー制度を現時点で導入することについては、執行上の効率性の問題等も含めて検討すべき課題がまだたくさんあるんではないかと、こう思っております。
 ただ、物の考え方として、これに対して対抗上こういう考え方はどうかと言われれば、これは検討課題の一つであろうというふうに思います。
○西岡武夫君 一方で文部科学省は、これも小泉総理の御指示のようでございますけれども、特区という名の下に株式会社の学校をお認めになったんですね。今それは実態としてどういう学校がどういうふうに株式会社として運営されようとしているのか。実態は今幾つあるんですか。
    〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕
○政府参考人(加茂川幸夫君) 特区における株式会社参入についてのお尋ねでございますが、本年度から三校、一校は大学院、一校は大学、そして一校は中学校の、その学校三種につきまして株式会社立の学校が特区という制度の中でスタートしたところでございます。
○西岡武夫君 それは私立学校法のもちろん外側にあるわけですね。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 委員御存じのように、私立学校法は学校法人が設立する学校を私立学校と定義をしてございますので、この株式会社立学校はその対象外でございます。
○西岡武夫君 いや、だから聞いているんです。
 そうすると、株式会社学校というのは所管はどこにあるんですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 特区における株式会社の参入は、設置者は、現行法では特区以外におきましては国、地方公共団体、学校法人と限定をされております、この例外として株式会社あるいはNPO法人を認めるものでございますから、設置者だけの例外でございまして、例えば学校教育法の適用につきましては、それぞれ所管でございます、大学の場合には文部科学大臣、高等学校以下の場合には都道府県知事がその所轄庁になるということになるわけでございます。
○西岡武夫君 法律にはどのように規定されているんですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 学校教育法で申しますと学校教育法の二条、設置者についての特例をいわゆる構造改革法、特別法で認めておりまして、それ以外については特別な規定を設けておりませんので、学校教育法がそのまま設置者についての特例以外については適用になるというのが原則でございます。
○西岡武夫君 そうすると、株式会社の学校というのは、文部科学省の、大学についても監督外ということになるんですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 説明を申し上げている私の説明が不十分であったかもしれませんが、所轄庁については学校教育法の適用は変わっておりませんので、例えば、大学を株式会社が特区という特例の地域で設立しました場合には株式会社立大学ということになります。大学についての所轄庁は文部科学大臣でございますので、文部科学大臣が一定の権限、責任を負うわけでございます。
○西岡武夫君 じゃ、私学部長の御認識は、株式会社という組織は何を目的としているんですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 株式会社についてのその特性の説明の仕方はいろいろあろうかと思いますけれども、株式会社について私どもよく特徴的に議論するときに申しますのは、株主の利益を追求する、利潤を追求する組織体であって、これを最大化する、極限化することが当面の目標である組織体だと理解をしておりますし、それが第一の特徴だと思っております。
○西岡武夫君 私もそう思います。
 そういうことと教育とがマッチするんでしょうか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 特区の議論の際に、株式会社参入論については様々な議論がございました。委員御指摘のように、株式会社の本来の利潤追求といった性格が、基本的な性格が公教育、公の性質を担う学校を設置する設置者としてふさわしいのかという議論がございました。利潤を追求して、学校を経営しながら利潤を追求して、その利潤を教育研究条件の改善のために再投資する、してくれればいいわけですけれども、それよりも株主の配当に回ってしまったときに本当にその教育の又は研究の維持向上につながらないおそれがあるではないかといった観点からの議論でございました。私どもそういった観点から、そのまま株式会社が学校を設置ということについては大変懸念があったわけでございます。
 したがいまして、特区の制度設計をいたします場合には、株式会社の特例は認めますけれども、その公共性、継続性、安定性を確保するための一定の要件を法律上明記をいたしておるところでございます。例えば、外部評価でございますとか、それから万一の場合のセーフティーネットの構築でありますとか、実際の学校運営を考えましたときに、そこに学ぶ者又は関係者の利益、期待権等を十分勘案した最低限度の株式会社に対する規制、要件を掛けたというのがスタートしております特区制度のあらましでございます。
○西岡武夫君 今度の私立学校法の一部改正の、言わば文部科学省としてのこの法律を改正するという動機というのは、一部の私学におけるいろいろな問題が起こったと、これが一つの動機でこの法律を、改正案を提案されたというふうに私は認識しますけれども、違いますか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) お答えをいたします。
 今般の御審議をお願いしております私立学校法の改正案の背景としましては、委員御指摘のような、学校法人における不祥事が実際見られた、背景の一つとしてあったということは否めないと思っておりますが、それを契機として私学関係者が検討いたしました際には、単に不祥事への対応だけではなくて、大臣も先ほど説明しておられましたけれども、学校法人を取り巻く様々な社会の激変、国立大学の法人化でございますとか様々な法人制度の見直し、あるいは委員御指摘のような特区における取組等、様々な変化を踏まえたときに、学校法人としてどうやって自ら積極的に改善を図っていくべきか、委員がおっしゃいました、打って出ていくべきかということを関係者は議論をなさったわけでございまして、そういったもろもろの総合的な議論、判断の中で今回の法改正の基になるレポートができ上がったと私ども思っておりまして、ある大学の不祥事のみがこの要因になっているわけではないと理解をいたしております。
○西岡武夫君 特区ということで何でも許されるということは私はおかしいと思っているんですけれども、株式会社で学校を経営したいというのがどんどん希望者が増えていったときにどういうふうにされるおつもりですか。
○政府参考人(加茂川幸夫君) 先ほど来御説明をしておりますように、株式会社立学校はあくまでも特区という特別なスキームでこの十六年度からスタートしたわけでございます。
 確かに、特区のスキームについては特定の地域に限定されておるわけでもありませんし、文部省がよく用います指定校方式のように数が限定されておるわけでもありませんから、希望をすれば、すなわち地方自治体の発意と責任の下で特区の数は限定なく増えていくわけでございます。今のところ三校でありますが、委員御指摘のように、株式会社の参入がこれから増えていくことも予想されるわけでございます。しかし、これをどう、これにどう対応していくかということは、特区のスキーム自体が全国化に向けて評価をすることになってございますし、そのための委員会も既にスタートをしております。
 私どもとしては、特区におけるその成果が学校教育においてどういうプラスをもたらすか、学校教育制度の活性化をもたらすのか、学校法人制度にとってプラスになることはあるのかといったことを冷静に評価をし、しっかり時間を掛けて教育論の観点から評価をした上で、これを全国化すべきか、株式会社という特別な設置形態を現行法に加えていくべきかどうかを時間を掛けて検討していく必要があるのだと思っておるわけでございます。
○西岡武夫君 大臣にお尋ねをいたしますが、本当のことを、本音をおっしゃっていただきたいんですが、文部科学省としては株式会社の学校設立は望ましくない、本来は望ましくないと、そうお考えではないんですか。
○国務大臣(河村建夫君) 私もこの話を聞いたときに、株式会社の在り方というのは正に利潤追求だと、株主還元だということになっていくと、教育がその方に引っ張られるということは非常に好ましいことではないと私も思いました。しかし、また一方、これよく考えてみると、今の教育の在り方に対して、学生や親のニーズにきちっとこたえているのかどうかという指摘もある。
 そうした中で、株式会社が資金を集めやすいという観点、しかしそれが余りにも利潤の方へ追求していったならば、当然学費も上がっていくだろうし、それにもう恐らく、需要者といいますか、教育を受ける側の要求にもこたえられなくなっていくはずだから、私はそこは株式会社が成功するとは思えない。
 しかし、教育の質をもっと上げるんだということにおいて実験的にやってみたいと言われることについては、これは一つの参考として、あらゆる教育の選択肢の中の一つとして考えられないことではないと、こう思って、私はむしろ私学側に株式会社でやっている教育が見習う点があったら大いに見習って参考にされたらいいとまで申し上げておるわけでありまして、やっぱりそういう意味で、正に教育の質といいますか、教育が信頼される、期待にこたえるものになるかどうかが勝負であって、そこはやっぱりきちっと評価をすればいいわけです。
 だから今、現実に今やろうとされている方々は、やっぱり教育をそのまま利潤にしてというわけにいかないだろう。むしろ株式会社の考え方でいったら違うけど、それはもう利益還元じゃなくて、株式会社にも我慢、株主にも我慢してもらって、むしろもう、更に利益はもう一回教育に再投資だということも今表明されておりまして、これは何か株式会社からいうと違う新しい会社じゃないか、株式会社じゃないか、むしろ第三の法人ではないかという話も今一方では出ております。NPOとまた、NPOに近い物の考え方になっておられるなと思って聞いておりました。
 当然そういう抑制が働くはずでありますから、一概に株式会社だからすべてノーだと言うわけにはいかない点がある。だから、特区で今やり、それを評価する、これもあらゆる国民の皆さんの選択肢の中の一つだと、私はそう考えております。
○西岡武夫君 この問題は、私は、文部科学省がやはりきちっと毅然たる態度で、教育というものは何なのかという、どうあるべきなのかということを確固としたものを持って、毅然として、たとえ内閣総理大臣が言われても文部科学省はそれに従わないというぐらいの、ぐらいではなくて従わないという気迫で臨んでいただきたいと思うんです。そうだと言われちゃったからしょうがないんだと。そうしますと、私が心配しているのは、このままでずっと行きますと、どうも、小泉改革というのがどういう形で進むか知りませんけれども、文部科学省というのは必要ないんじゃないかとなりそうなんですね。私はそれ心配しているんです。
 大臣の御健闘をお祈りをいたします。
 終わります。