- 委員長(狩野安君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題として、文教科学行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
- 西岡武夫君 西岡武夫でございます。
今日は、伊吹文部科学大臣のさきに行われました大臣所信を中心に質問をさせていただきます。
私は、大臣が所信の中で述べられました教育についての基本的なお考え方、具体的には、大臣のお言葉をそのまま申し上げますと、教育問題は国家百年の計であるだけに、その最終評価は、私たちがこの世を去った後に出てくるでしょうと、全くそのとおりだと、同感であります。私も一貫してそのことを今日まで言い続けてまいりました。
もう一点、教育に資質向上のことに触れられた中で、教育再生という言葉は、じゃ、今の日本の教育は崩壊しちゃっているのかということになるんで、私は、教育再生という言葉が政権与党あるいは文部科学大臣からこのように語られること自体がちょっと問題だなあと思うんですけれども、その点も後でお伺いいたしますけれども、大臣のお言葉をそのまま申し上げると、教育再生のかぎを握っているのは良き教師に尽きると言ってよいでしょうと。これも、この後段の部分、教育は良き教師に尽きると言ってもいいと、このこと全く賛成であります。
そこで、今触れました、大臣は日本の特に義務教育を中心とする学校教育が崩壊しているという御認識でしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君)崩壊しているという言葉は私は所信では使っていないと思いますが、いろいろ問題点があることは確かだと思いますね。横文字を使うのは私は余り好きじゃありませんが、再生という言葉はリバイタライズですから、新しき命を吹き込み、元気にもう一度立ち上がらせるということでございます。
- 西岡武夫君 本委員会は日本の教育について論ずる日本の国会でございますから、他国語を引用されてこの重大な問題を御説明になることは控えていただきたい。教育再生という言葉をお使いになる以上、再生ですからね、再び生き返らせるわけでしょう。どうなんでしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君)どうなんでしょう、再び生き返らせるというか、再び生気を与えるというか、私は完全に息の根が止まったとは思っておりませんので、新たな命を吹き込むということでございます。
- 西岡武夫君 それでは、これから少なくとも伊吹大臣の下で教育再生という言葉はお使いにならない、こういうことですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)いや、私は再生という言葉の解釈を、先生は御経験が大変深いですから、死んでいるもの、崩壊しているものを再び生き返らせるというお言葉を出しておられましたが、私は生気を取り戻させる、命を与えるというふうに解釈をしておりますから、横文字を使って説明をするのはやめろという先輩の御叱正でございますのでその言葉は使いませんが、私がこの言葉で所信を表明したときの文字どおりの意味は、先ほど横の言葉で申し上げたことを念頭に置いて再生という言葉を使っているわけです。
- 西岡武夫君 この問題は、私は適当な言葉ではない、再生という言葉は、教育全体に与える、あるいは国民全体の教育に対するこの現状についての認識を過たせるのではないかという危惧を持って申し上げたわけでございまして、そのように受け止めていただきたいと思います。
ところで、大臣が教育問題というのはとにかく百年の大計なんだと。私も、自分が生きている間にその成果が出るというふうには思わないで今日までいろんな問題に取組んでまいりました。
ところが、これは小泉政権の下で、いわゆる行政改革の推進に関する法律案の第五十六条におきまして、御承知のとおりに、教育職員の人材確保に関する特別措置法の廃止を含めて見直しというものを平成二十年四月を目途に必要な措置を講ずるという法律があるわけです。私はこの人確法を提案し、立案し、これを立法化することに携わった者として、私が生きている間に、廃止を含めて検討されるとは夢にも思わなかったんですけれども、大臣のこの人確法についての御認識についてお尋ねをしたいんですが、廃止を含めて検討するというこの法律について大臣はどうお考えですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)先生の今の、特に先生がライフワークとして教育に取組んできておられる情熱からいえば、当然今のようなお言葉になると思います。
国がやっている仕事というのは、私ども後輩が申し上げるのもなんですが、幾つものことをやっているわけですね。無数の連立方程式の解を解くわけですから、一つの連立方程式の答えを満足させたけれども他の方程式の解になり得ないというものは、やはり総合的に国家を預かっている場面では取り得ないと。そのうちどれを重視するかというのは、その政権その政権の価値観、政治理念によって、まあプライオリティーはまたいけませんね、優先順位を付けるところだと思います。
小泉政権は、今御指摘になったように、財政再建というものを重視をして、しかもそれを歳出のカットを中心に進めてきたと、歳入のことは議論をしないと、自分の政権の間はですね、ということでやってこられたから当然こういう帰結になっている。これは、いい悪いじゃなくて、先生がおっしゃた事実に対する私の評価です。その上で、昨年末の予算編成のときに、今おっしゃったことを実現しようという動きが具体的にありました。
それで、人確法の趣旨からすると、どれだけが優遇されているのかというのは、これは見方によっていろいろ違いますけれども、例えば地方公務員の超過勤務の実態がどうなっているのか、一般地方公務員のですね、それとの比較で教員の超過勤務の実態と合わせて比較をして、公平に見てやらないと私は教員のために良くないと思っていますが、そういうことの中で二・七六%を閣議決定をしたので、昨年の暮れから削減ををするという話があったので、私は先生と同じそのとき判断をしたわけです。
これは、安倍内閣が教育を最優先課題とする限りは、小泉内閣のときにできた概算要求に従って二・七六%の教員給与をカットするというのは、私は取るべきじゃないと。安倍総理もその考えを理解されて、財務大臣が納得をして、昨年暮れでは二・七六のカットというのは延期になったんです。延期になりました。
ですから、いよいよ平成二十年度予算については概算要求時点から安倍内閣はかかわらなければいけないわけですね。人確法の精神を生かすにはどういう取組方があるか。二・七六のカットというものは閣議決定をし、先生がおっしゃっている法律があるから、それを認めた上で、それを上回る人件費の要求をするのか、あるいは、二・七六を言っているのをやめさせるのか、いろいろな私はやり方があると思います。
今回いただいた中教審の答申もお読みいただいたと思いますが、その総論のところに、免許、研修、いろいろ書いてありますが、同時に、先生が先ほど引用していただいた、良き教師に尽きるということからすると、教師の勤務条件というものと合わせてやはり免許のことは考えなければならないということを中教審もわざわざ言ってくれているんです。ですから、これは二十年度予算編成の私は最大の問題というか争点になるところではないかと思って、ともかく十九年度予算編成では一応地雷は撤去したという状態になっているのが現状でございます。
- 西岡武夫君 大臣お言葉ですけれども、地雷を撤去されたとおっしゃっておりますけれども、地雷はあるんですよね。
- 国務大臣(伊吹文明君)ありますよ。
- 西岡武夫君 じゃ、撤去じゃないでしょう。
私は、現在人確法が、正に人確法そのものが再生しなきゃいけないと思っているんですよ。形骸化しちゃっている。これこそ再生ですよ。安倍政権の下で教育を内閣の優先課題にすると言われたわけですから。先ほど大臣は、いろんな施策を総合的にやるのが政治、政権の務めであるから、一か所の問題だけをいろいろ言い募っていたのではできないというような趣旨をおっしゃいましたけれども、内閣の最優先課題が教育であると、教育であると。
- 国務大臣(伊吹文明君)そういうことを言っているんじゃないんです。
- 西岡武夫君 いや、安倍さんが言っておられるんですよ。そして、その教育の中心は教師にあるんだと。そうであるならば、人確法の再生こそが求められる。 したがって、伊吹大臣がこの所信をお述べになった以上は、今国会中に行政改革の推進に関する法律案の第五十五条と五十六条、この条文二つを削除するという法律を提案されてくれば、私は安倍政権は本気で教育問題に取組むんだなと、こう思います。大臣、いかがですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)まず、最初に、無数の要請を変数とした連立方程式を解かねばならないということは、小泉内閣においてとおっしゃったので小泉内閣の連立方程式体系の中では、おっしゃったように人確法をカットするという連立方程式体系を組んでいるんだということを御説明しただけであって、安倍内閣は最優先の課題としており、良き教師に懸かっていると私、申し上げているわけですから、先生のお言葉で言えば、人確法を先生はそれを再生されるというふうに、再生という言葉をそういうふうにお使いになっているのかなと思って私、今聞いておりましたが、私は、あるいは再生という形でいくのか、つまり今あるものに新たな命を吹き込む、あるいは命を再び生き返らせるという先生のお考えでもいいですし、教員の給与、勤務条件体系を新たに創造するという考え方でもいいでしょうし、私は、何らかのそういうことをしたいなと思うことは再三御答弁を申し上げているわけです。これは、各委員会の、あるいは予算委員会の答弁等を議事録で引いていただければ私の気持ちはそれで理解していただくと思います。
今国会中に国会がお決めになった法案を私が殺すものを出すかどうかということについては、これは立法政策の話ですから、具体的にそこのところの決着を付けなければならないのは、先ほどお読みになったように平成二十年と書いてあるわけでしょう、法律には。ですから、二十年度予算編成の中で勝負になる最大のポイントだと私が申し上げたのはそういうことなんですよ。
だから、予算編成の中で勝負をして、必要なら、それに付随する予算関連法案を国会に提出する中で、先ほどの行政改革の法律が法律どおりやりますと、しかし別に法律を上回る措置をとるというやり方だってあるわけですね。法律をやめますというやり方だってあるわけですよ。大切なことは、黙々と努力している教員に対して実質的にどういうことを報いてあげるかということが大切なんであって、法律をすぐに殺せばそれでその立場が分かるということでは私はない、いろいろな予算編成上のテクニックというのか、立法政策上のやり方があると思います。しかし、気持ちは、今、西岡先輩がおっしゃったことと私はそう違うことを考えているわけじゃないんです。
- 西岡武夫君 まあ、大臣のお苦しい立場というのは十分分かるんですけれども、私は、外務大臣と防衛大臣、この二つのポストは総理大臣と意見が違うということをみだりに発言してはいけないと、こう思うんです。しかし、他の大臣の皆さん方は、自分の所管の問題について総理大臣ともちょうちょうはっしの議論をされて結構だと思うんです、ましてや、総理大臣が教育を最優先にする、この安倍政権はするんだと言っているんですから。
それならば、小泉政権のときに作ったこの行政推進法を、実態の問題として私は、五十五条と五十六条が文部科学省にとっては大きな壁になっていることは事実でしょう、大臣、政策を進められる上で。その壁の中で、こちょこちょこちょこちょやったところで知れたことですよ。この壁を取っ払わないと伊吹大臣がおっしゃているようなことはできないんじゃないですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)それはそうじゃ、先生、ないんじゃないですか。私より与党での予算編成の御経験も今は野党だけどおありになるわけだから、どういう形で教員を優遇するというか、今の人確法の趣旨をやっていくかというのは、これは会計的に言えば極めて明白なことで、こちらの勘定を落とすというやり方をするか、こちらは勘定は残しておくけれども、それよりも更に大きな勘定を右側に立てれば差引きは同じことになるわけですよ。
だから、この法律をつぶすのか、あるいはこの法律どおりやって、それの今度はこの法律でつぶされた二・何、私はむしろ先生より教員のことを考えているんじゃないかと思うんですよ、そのとおりできなきゃ私は無能な大臣になるんですけど。私が考えているのは、二・七六を落とす、二・七六でいいと思っていないんですよ。二・七六を仮に閣議決定しているんだからそのとおり実施しても三・○の新規要求をした方がいいんじゃないかと思っているわけですよ。私は。だから、それはやり方の問題なんですよ、先生。
- 西岡武夫君 私はそういう、二・とか何・とか、そんな細かい話をしているんじゃなくて、学校の先生が日本の将来にとって大事なんだと。これは明治維新以来、一貫して日本が取ってきた姿勢だと思うんです。
人確法を作るときに、これは前も申し上げたと思うんですけれども、日本が第二次世界大戦に参戦をしてしまった、そして敗戦をしたと。それ以前の状況は、学校の先生は兵役を免除されていたわけですね。私は、人確法を作成する過程の中で、兵役免除に代わるいわゆる、言葉としては適当かどうか分かりませんけれども、教師に対する優遇措置というものはないのかといろいろと模索をして、いろんな経緯がありましたけれども、結局人確法というところに行き着いたわけですね。それだけのことをずうっと我々の大先輩たちはやってきたわけですね。
それを考えると、どうなんでしょう、大臣。そういう今のような二・何%がどうという問題じゃなくて、基本的な考え方としてどうするんだと。それには、小泉政権がこの法律を作ったと、しかし、特殊法人とか独立行政法人なんというそういう名前で生き残って、全然手を付けていないところがたくさんある中で教育にぱっとメスを入れてきた。これはもう大変な私は罪だと思うんですが、安倍政権になったんですから、安倍政権はどうするんだ。これを、五十五条と五十六条を削除するということをおっしゃる方が明快になると思うんですよ。
- 国務大臣(伊吹文明君)先生の安倍政権への御指導、野党からの一つの御意見があったということは重く受け止めます。
しかし、私たちは、その二・七六が小さいとかということであれば、先生はしかし、人確法の優遇分をカットすると書いてあるじゃないかというところからお話を始められたから私はそのことを申し上げているんであって、数字で申し上げないとすれば、この法律に書いてあることをこの法律どおりやりながら、その法律を上回る新たな法律を作るというやり方だってあるわけですよ。
ですから、それは立法政策の問題なんですよ。だから、考え方としては、私は累次いろいろな委員会やなんかでも、本会議でも御答弁しているように、今の少し教員に対する、免許だとか、研修ということだけで本当にいい教師がつくれるのかと。そして、何か失敗をすれば、あるいはいじめの問題、学校現場の荒れということがあれば、それは極めてまれなことであるからマスメディアは大きく取り上げるのであって、取り上げられないけれども黙々と努力している大勢の先生がいるということもやっぱり書いてもらわないといけないわけですね。そういう思いで私はいろいろ申し上げているから、お気持ちはそう違わないと思うんですよ。
ただ、それは先生、長い間国会におられて、今、小泉内閣の作ったこの法律の中の二つだけを安倍内閣ですぐにぽんと国会へ出せなんというのは、政治論としては、野党は喜ぶけれども、マスコミは安倍内閣を攻撃するための最高の材料を作るけれども、こちらは非常に困るぐらいのことは先生、御経験が長いからお分かりじゃないですか。
- 西岡武夫君 私は、安倍政権が教育問題を最重要課題にするとおっしゃたから言っているんですよ。おっしゃらなかったらもう期待しませんよ。そうおっしゃっている以上は、少なくとも人確法の問題はかなり他のいろいろな施策にもかかわる問題で、大変なこと分かります。分かりますが、人確法を作るときは大変だったんですよ、全部の役所は反対ですから、その中で作った法律ですから。
ですから私は、伊吹大臣が、自分が生きている間に成果が出るというようなものでは教育問題はないんだと。私は、自分が生きている間にこの人確法がなくなるなんというのは夢にも思わなかったと申し上げたのはそういう意味なんですよ。ですから、それを上回る法律を作るとおっしゃっても、私には全然見当が付かない。人確法そのものが形骸化してしまっている、残念ながら。
ところが、日本が第二次世界大戦で戦いに敗れた後の学校の先生方の給与は、この人確法がない以前です、他の公務員より二号俸上だったんです、初任給が、当時から。ですから、そういう大きな流れの中でやれないことはないと私は思うんです。
それと、教育問題はこれだけ大きな問題になって、免許法の改正も御提案になる予定になっておりますけれども、第五十五条というのも私は大変なこれは課題だと思うんですよ。これがあると、なかなかやろうと思ってもできないでしょう。
御丁寧にですよ、こんなに書いてあるわけです。第五十五条の三項には、はしょって読みますけれども、「教職員その他の教員の総数について、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講ずるものとする。」と。ここまで書き込んでいるわけですね。そうしたら、文部科学省は、学校の先生の配置とかそういう問題について多分にっちもさっちもいかないと思うんですよ。もう既にそうなっていると思います。それでいて、教育を大事にする、教育をこの安倍政権の第一の課題にするんだと言っている。政権は看板倒れになりますよ。どうお考えですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)いや、それは先生、そうじゃないんじゃないですか。
だって、先生は国権の最高機関の一員でしょう。だから、我々、今まで法律を変えていることは幾らだってありますよ。先生だって随分たくさん法律を変えてこられたと思う。あるいは、新しい法律を作ってこられたと思う。だから、最優先の課題として政権が考えた場合に、このとおりにいかないんであれば、予算編成その他を考えながら必要な法律を出して、また国会の御議論を得るから、国会というのは法改正をする場じゃないんですか。いったん決めちゃったらそれにいつもいつも縛られて身動きもできないということであれば、法律を作っちゃたら行政が国権の最高機関になっちゃうじゃないですか。
- 西岡武夫君 いや、ですから、私は、伊吹大臣がこの五十五条と五十六条を削除するという提案をされますかと冒頭に聞いたのはそういう意味なんですから、政府として。いや、それは国会でまた議論するわけですから、政府がどう考えているか。
- 国務大臣(伊吹文明君)いやいや、そうじゃないんです。
先生はこの国会にとおっしゃいましたよ。我々はそういう気持ちはありませんということを申し上げているんであって、実質的に二・七六とか数字の話のようなちまちまとおっしゃるけれども、先ほど来のお話を伺っていると、二号俸高かったとか、みんな結局金銭の優遇のお話をしておられるから、私も、金銭的に優遇をするということであれば、今の二・七六を削減してもそれよりも大きな予算を付ける。あるいは、場合によっては、先生が今御指摘になったような法律があっても、再生のために新たな、例えば今教員が子供と向き合う以外の時間を取られているから、そこのところを埋めていく職員を別枠につくるとか、それがこの法律と相反する事実となれば、それはこの法律を殺す法律を国会へ出さないといけないんですよ。
しかし、それをいつ出すかは、もちろん民主党は議員立法の提出権がありますからお出しになってもいいと思いますし、我々がいつ出すかは我々が判断をいたしますと申し上げているわけです。
- 西岡武夫君 いや、私が今国会と申し上げたのは、何も特別な話でも何でもなくて、二十年の四月までにと書いてありますから、法律に。平成二十年の予算編成は、その各省の予算の概算要求というのは参議院選挙終わったらばすぐに出るわけですね。もちろん、そこで政権交代していれば問題ないんですけれども。それは一応おいておいて、伊吹大臣の決意を聞いているわけですね。だって三年先の話じゃないんですから。来年の予算編成ですから。それにかかわるから今国会でと申し上げたんです。
これは、今ここで今国会に出しますなんということを大臣がおっしゃったらば政権としても大騒動になるんでしょうからこれ以上申し上げませんけれども、この問題はやっぱりきちんとこの国会であろうと臨時国会であろうとなさるべきであると、今の安倍政権が続く以上は御検討になるべきであると、このように御指摘を申し上げておきます、この点について。
それから、今回の中教審の答申ですけれども、私が、長いことずっと中教審の各審議も見てまいりましたが、私が寡聞にして、あるいは記憶違いかもしれませんけれども、大きな課題を中教審が中間答申も出さないままわずか一か月で大臣に直接答申出しちゃったという例は、これは参考人で結構ですから、過去にありますか。
- 政府参考人(加茂川幸夫君)今回の答申に至ります経緯を御説明を申し上げたいと思いますが、今回は確かに一月で答申に至ったわけでございますが、重要な中教審答申に至ります一般的な手続で申しますと、委員御指摘のように、中間発表をし、一般の御意見を徴する機会を提供するというのがこれまでの手続でございましたし、今回は、例えば、一月の期間ではございましたが、例えば一般の方々の御意見を聞くといった手続きに配慮するなど、期間は短うこざいましたけれども、審議の充実を図るための様々な手当ては尽くされておるものと理解をいたしております。
- 西岡武夫君 この答申の初めの、これは初めも当然答申の一部でございますから、この中に「時間的制約のある中で、」、こんな答申、私、今までに聞いたことないんですね。私は異常だと思うんです、こういうやり方は。
もしも大臣が、本来なら中教審にかけなくてもできることだと、私はそうだと思うんですよ。その点は、大臣、どうお考えですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)まず、その前に、先ほど来先生と議論してきたことは、先輩の貴重なアドバイスとして私、受け止めさせていただきます。いみじくも最後におっしゃったように、先輩のお気持ちに沿う答弁をしたら大ごとになるという御期待に沿った答弁をできなかったことはおわびをいたします。
そして、確かに、かつて先生の先ほどの御指摘もそれに相通ずると思いますが、小泉内閣のときは二分の一堅持の答申をしているんだけど、内閣はそれを受け入れていないんですね。そういう事実はあります。だから、審議会というものは、これの意見をどう文部科学大臣あるいは内閣が受け止めるかは、むしろやはり内閣サイドの判断権は担保されていると思います。ですから、かけなくてもいいということは、多分法制局的に言えばオーケーだと思いますね。
しかし、私は政治的に考えたんですが、再生会議という、大仁田先生の午前中の御質問にるるありましたが、再生会議というものが閣議決定によって出されて、そして再生会議の場で、これ正に先生が今おっしゃったのと同じことを再生会議の方々の中で御意見があったということが新聞にも報道されておりました。私は、再生会議というものが閣議決定だけで出来ている会議であるだけに、ここはやはりきちっと国家行政組織法上の審議会にやっぱりかけて、そして立法作業に入るのが、まあ私は穏当じゃないかという判断を私がしたわけです。
ですから、安倍総理も、この国会に是非出してほしいという要請をされました。そのことも中教審に御迷惑をお掛けしたことなんですけれども、そういう私の判断の結果、中教審には大変タイトな、御迷惑をお願いしたというのがありのままの事実でございます。
- 西岡武夫君 その間の経緯は十分分かりますし、先ほど、午前中の質疑で大仁田議員から再生会議その関係等々について触れられましたから、私はもう重複を避けて、私も大仁田委員と全く同じ意見でございますので省略をいたしますけれども、いずれにしても、少なくとも教育行政、教育についての直接的な責任は文部科学大臣が持たれるということで進められるべきだと思うんです。
そこで、お尋ねなんですけれども、もう一つ、これも小泉政権の下で行われて今なお行われている、教育制度について特区制というのを導入していますね。
この間、新聞等でちょっと拝見しますと、特区でできた、株式会社ですか、株式会社何々学校、これがいろいろ問題があるという指摘を文部科学省がなされたという報道がありましたが、それだけではなくて、株式会社何々中学校なんというのは私はもってのほかだと思うんですけれども、そういうシステムがですね。どんな名前であろうと、特区であろうと何であろうと、株式会社が、この株式会社の概念そのものがおかしなことになるので、学校を設置するというやり方は私は適当でないと思います。
それよりも、しかしもっと大きな問題は、特区と称して、小学校、中学校、高等学校のそれぞれの区切りを自由にできると。これは伊吹大臣は、こういう学校の刻み方を、いわゆる学制そのものを、特区という正に何か変なやり方で崩していくというやり方についてはどうお考えですか。
- 国務大臣(伊吹文明君)日本全体が特区の申請をすれば、もうこれは特区じゃなくなるわけですから、基本的には、今の六三三四という区切りというものはきちっと決めているわけですから、これ特区という形でなし崩し的に崩すのは必ずしも適当なことでは私はないと思います。
しかし、同時に、西岡先輩のかねてい持論のように中高一貫でやった場合に、それでうまくいくかどうかという実験をやってみる、そして、実験をやってみた結果それでよければ、六三三なのか六四二なのかいうことを本格的に入れるということはあっても私は構わないんだと思うんですね。
ですから、特区というのはあくまで限定的に、実験的にやるのであって、それが大きく日本全体の制度を変えてしまうということがあるのならば、それは当然、法律なりなんなりで国会にお伺いを立ててやるというのが筋だと思いますし、特区自身も、これは、国会でこの法律が通ったということに沿ってやっているわけですから、行政が自由にやっているわけではないんですよ。
- 西岡武夫君 大臣、多数の議席を持っている与党の政権担当の内閣の一員が御答弁になるときに、大臣の御答弁は、最後はいつも国会がお決めになるということで、それは当然ですよ。当然ですけれども、それだけに多数を衆参両院で持っている与党の責任というのは非常に重いわけで、それが、そこでやっていることを最後は国会でお決めになるんだからというふうにすり替えられると困るわけで、大臣のお考えをお聞きしているんですね。
今、研究的にとおっしゃいましたけれども、文部科学省は文部省時代から、昭和五十年前後から長きにわたって、研究指定校制度というものを活用していろんなことを学校にやらせているんですよ。それはもう、私も資料を見ようと思うとこんな膨大なもので、とても時間がないぐらいその成果は出ているわけですね。そんなのは全部お蔵に入れちゃって、特区と称してまたやって、その実験の結果どうのと、実験台になった子供たちはどうなるんですか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)ただいま先生がお話ございましたように、文部科学省では、研究開発学校という制度を持っておりまして、学習指導要領で定められました教育課程によらない教育課程を編成をして、実験的な教育活動を行うという事業を実施をしてまいりました。
これは、成果として、例えば小学校の低学年で、かつては理科、社会が一、二年生にあったわけでございますけれども、これを、教科を統合いたしまして教育課程を編成するといったような試みをやりまして、そういった試みが重なって現在の生活科という教科の礎になったとか、そういった幾つかの成果は上げているわけでございます。
現在、お話のございました小学校中学校一貫教育の研究というのは、これは研究開発学校でやっている事例もございます。それから、いわゆる研究開発特区と申しまして、特区の指定を受けまして行っているものもございます。
具体的には、学制そのものをその地域で変えるということではなくて、小学校中学校一貫教育ということで、この九年間を、カリキュラムにつきまして、例えば、四年間のカリキュラムと、その上に三年のカリキュラムを乗せて、そして更に二年のカリキュラムを乗せるといった活動をやってみると。例えば、東京の品川区では、小学校と中学校が一つの校舎の中に入りまして、カリキュラムを四三二というふうに組みまして、それで教育活動を実施をしてみるといったような実験的な試みを行っているわけでございます。このほかに、五年のカリキュラムと四年のカリキュラム、五四というような試みをやっている事例もございます。
いずれにいたしましても、小中一貫教育に関しまして、先行的なカリキュラム開発を伴ういろいろな試みを今私ども認めている、特区とかあるいは研究開発学校で認めているということでございます。
- 西岡武夫君 私が指摘しているのはそういうことではなくて、先ほど大臣が、特区でいろいろやってみて、その成果を実際に学校制度全体に参考にして、改革する場合は改革するという趣旨のことをおっしゃったのでお尋ねしているわけで、それならば、前は研究指定校と言っていたでしょう、昔は。研究指定校というのがあったんですね。
ですから、そこでいろいろやっている分にはいいんですけれども、市町村単位で、小学校四年と、その上に三年をということになると、人口移動が全くないという前提でお考えなのか、それぞれの行政区の中で。一つの市が特区として認めると、そこから、そこで学んだ子供が途中で親御さんの関係で転勤して別のところに行った場合にどうなるのかというところまではお考えじゃないんですか。
- 政府参考人(銭谷眞美君) もちろん、研究開発学校でございますから、研究開発学校あるいは特区でございますから、全く学習指導要領の定めどおりというわけではございませんけれども、それは例外が幾つかございますのであるわけでございますが、基本的には、例えば四三二のまとまりで小中一貫教育を一つの校舎の中で小中学生一緒に実施をしている場合でも、四の固まりの四年生のところを終えて、ほかの学校でいきますと五年生に進級するときに転校したというときには、その四年生までのカリキュラムについては基本的には共通性が非常に高いわけでございますから、転校してもそれは困らないようにはカリキュラムは作っているわけでございます。
- 西岡武夫君 今の御説明では説得力がないんですね。研究指定校とか研究開発校という学校を特定した場合には、まあ百歩譲ってその学校に行きたくないと思って行かなきゃいいんですから。ところが、行政区丸ごと、何々市の丸ごとがその特区の申請をして、そこの小学校は、今のように四年制、三年制と、そういうものをやられちゃうと、子供たちが実質的に大きな被害を結果として受けるんじゃないかということを私は懸念しているんです。
そこで、そういうことをてんでばらばらおやりになるくらいなら、大臣、そろそろ、そろそろといっても大分昔からの議論でございますが、六三三四という学制改革をなぜなさらないんですか。これは、中曽根康弘総理大臣のときに、私が具体的な案を立てて、中曽根総理も御承認になって党の政策決定まで行って、自民党のです、当時、決定まで行って、選挙をやったことがあるんですね。そこまで行ったことがあるんです、学制改革は。ところが、その後うやむやになってしまったという経緯があるんです。
ですから、伊吹大臣にお願いなんですけれども、学制改革に取り組むということを御決意になったらどうですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) まず、特区の法案を出しましたときは御党も賛成をしていただいているわけですから、私は自民党だけで決めたことを言っているわけじゃございませんので、このことはまず最初に申し上げておきます。
それから、今の学制、この六三三四の見直しについては、西岡先輩が情熱を燃やしてあれだけのことをおやりになった後、なぜうやむやになったんでしょうか。私はやはり、社会のいろいろなところに、率直に言うとかなり定着した制度としてあるんで、これを変えるということについてはやっぱり広範な同意が要るというふうに思います。これは、人それぞれの政策を進めていく持ち味ですから、そんなものけ散らしてやってしまえというやり方もありますし、やっぱり少し遅いねと言われても、まあ摩擦なくやっていった方がいいという考えもあると思いますし、今のまま常に固定していいんだというふうには私は思っておりませんから、先生のお気持ちも体して、私の考えを練ってみたいと思います。
- 西岡武夫君 これは、私の別に思い込みではなくて、かの有名な四六答申、森戸辰男中教審の会長の下で行われた四六答申においても学制改革のことは明記されているわけです、昭和四十六年に。
ですから、これはとっぴなことでもないし、国民全体がそれに対して受け入れるという素地が全くないという事柄でも決してないと思うんです。ところが、大臣の所信の中では、高等学校のところについては、検討しなきゃいけないということは触れておられますけれども、もう一歩踏み込んだところまではおっしゃってないんですね。
それと、事のついでに申し上げますけれども、大臣のこの高等学校のところについての御発言の中で、「大学入試の在り方を見据えた高等学校教育について検討してまいります。」と。この大学入試は、入試センター試験というのは元々、私は当時、大学入学資格試験制度にしてはどうかという考えがあったわけです。ところが、そこまでなかなかまいりませんでスタートをしてしまったと。今の連立与党の中には資格制度にしたらどうだという、センター試験を、御意見もあるやに聞いておりますけれども、そういうこととの絡みの中で、高等学校のやっぱり在り方というものを早急に解決するためにも、学制改革に私は着手すべきだと思うんです。是非御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 先輩の貴重なアドバイスとして受け止めさせていただきます。
私も、未履修の問題があったときにも、大学の入試と高等学校の在り方、センター試験のこの三つの組合せが今のようなことで本当にいいのかなと、そして高等学校というのはどういう立場のものなんだろうということをいろいろ考えました。
そして、法案が通った後なんですが、御党の教育基本法には普通教育という表現がありましたけれども、与党案には、私が文科大臣になる前に既に提出されていたんですが、高等学校の記述がないんですよね。そのことも併せていろいろ考えてみたことがございます。ですから、貴重な今の御提言として、特に先輩の御提言として私なりに考えさせていただきたいと。
そして、先ほどのやはり特区の問題は、民主党さんも特区法案にも株式会社の参入にも賛成をしておられるんですよ。ですから、お互いにこれからそのことについて、私はかなりこの特区法案による学校への株式会社参入には、私自身は大いに問題があるという認識を持っておりますので、それはあの当時は御党も我が党も賛成だったかも分からないけれども、その後の事柄を見ると、必ずしも私はいいとは思わない面がありますから、この点も御一緒に考えさせていただきたいと思います。
- 西岡武夫君 時間がそろそろ参りましたから、今の特区の問題は、多分、当時全体の問題として特区制度というものは一つの試みでいいだろうと、地元でお酒を造ったりとか、ビールですか、ビールを造ったりとかいろいろありましたね。それと、株式会社何々中学校とは別ですよ、問題は。そこで取捨選択すべきなんですよ。そこまでは民主党は賛成していたとは思えないんですけれども、それはまあ一応、その行政の判断ということが残っちゃったわけですから、やむを得ないと思います。しかし、改めるべき事柄であるということを申し上げておきます。 それと最後に、まだ法案が出ておりませんから、議論は法案が出てからさせていただきますけれども、免許の更新制についてお考えのようでございますが、私は、なぜそれをお考えになるならば養成制度に、教員養成制度に手を付けられないのか。あるいは、まだ法案を今お作りの状態ですから間に合うと思うんですよね、養成制度に手を付けると。それと両々相まって初めて教師の問題についての一つの筋道が立つと思いますけれども、いかがでしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 養成制度と先生がおっしゃったのは、具体的には、教員免許試験を受ける例えば資格、あるいは合格した後の任用の期間、その間の身分ということですね、そう理解してよろしゅうございますか。
当然、将来のこととしては教職員大学院等を考えて今もうその作業は進んでいるわけですから、例えばフィンランドのように、教師はすべてマスターであるというようなこともひとつ考えねばならないと思いますし、同時に、任用期間が国家公務員と比べて私はできるだけ長く取った方がいいんじゃないか、任用試験期間をと言っているんですが、その身分の不安定性その他いろいろ議論がございます。
ですから、今すぐ資格をマスターに上げちゃうということは可能かといえば、それはもう当然のこととして現実的ではないということは先生もお分かりだと思いますから、いや、だって、今のある人を今度はどう、今の、マスターの資格でないと試験を受けられないということにするんであれば、今ある人とのバランスをどう取っていくか、これからマスターの資格を受ける人と今までの学士の資格だけで受けられる者との間の時間的なずれをどう調整していくか、いろいろな検討課題がございますから、ただ資質を上げていくという意味で免許を考えるためには、先生が御提案になったような問題意識も私は持っておって事務局といろいろ議論はしているんです。
先生のいろいろな御質問に私が、まあ先輩の大変有益な御提案ですから、第一の質問のときに先生がいみじくも明かしてくだすったように、すべて同意をしちゃったらこれは国会がひっくり返りますから、それはもう大変なことになりますから、それは先生のしっかりとした御意見として受け止めさせてください。
- 西岡武夫君 私は、国会がひっくり返るぐらいの改革をやらなきゃいけないと思うんですよ。本当に、まじに言っているんですよ。是非、大臣の勇猛果敢なお取り組みをお願いをして、質問を終わります。