- 西岡武夫君 西岡武夫でございます。
実は、官房長官と大臣、文部科学大臣とがおそろいのところでご質問申し上げたい点が幾つかございますので、その点は官房長官がお見えになりましてからお話しすることにいたしまして、大臣にまず基本的なことをお尋ねしたいんですけれども、鳴り物入りで今回の教育関係三法を政府はお出しになっておられますけれども、率直に申し上げて中身が全然ないと申し上げざるを得ないんです。と申しますのは、一体、安倍政権が教育を最大の政策課題にするんだとおっしゃっている以上、安倍内閣として、すなわち伊吹大臣として日本の教育改革の全体像というものをまず持っておられるだろうと、その全体像の中で今回国会に提出した法案はこういう位置付けなんだと、その全体像をお示しをいただきたい。
- 国務大臣(伊吹文明君) これは、本来、いつの機会か委員会のお定めにより総理が出てまいりましてお答えするのが私は筋だと思いますが、政治家として考えると、これから長寿・少子化社会、国際化社会の中を日本は生き抜いていかねばなりませんので、日本人としてのまずアイデンティティーをしっかり持つと。そして、その中で、大変な国民資源が要る時代になるけれども、その国民資源をつくっていく人が必ずしも十分確保できないという中で、日本が今までどおり国際社会の中で、また国内的にも豊かで認められ得る国家として存在していくための日本人とはどうあるべきなのかということをまずやっぱりしっかりと私は考えるべきだと思います。
やはり、資源がない日本が、物質的な豊かさだけが人間の幸せではありませんが、物質的な豊かさが伴わなければ幸せにならないということを考えれば、やはりここまで来れたのは勤勉な労働力と、そしてしっかりとしたイノベーションを創出できる能力が日本人に私はあったからだと思います。今その二つの力が、残念ながら、いろいろな要素があると思いますが、特にこれはどの国においても豊かになることに伴って生じ得ることなんですが、豊穣の中の精神の貧困のような現象が生じておりますので、それを一つ一つやはり直していくのが教育改革の基本でなければならないと思います。
そういう意味では、やはりとかく経済成長に大切なものとか、あるいはすぐに役立つものとかということに目が移りがちでありますが、そういうことごとをつくり出す能力というのはやはり基礎がしっかりしていなければなりませんし、大学において基礎がしっかりしているというためには、そこへ人材を供給する初等中等教育というものが一番私はやはり基本を成すと思いますので、そのような観点から新しい時代に合った新しい教育の理念を改正教育基本法ということで国会で明確にしていただきましたので、それに従って教える内容、また教えていただく先生の在り方、そしてそれをつかさどっていく教育行政の在り方、そしてなお今回の法律で率直に言って足らざるところ、つまり高等教育、社会教育等の分野の法整備をしていきたいと。
しかし、法律を整備しなければ法治国家ですから物事は改善されませんが、法律を変えただけで物事は改善されるわけではないということは私はよく自覚しておりますので、当然それに伴う人間の在り方、それに携わる人の意識の改革、そして予算の下支えその他のものがすべて一体となって教育改革というものは実現していくべきものだと考えております。
- 西岡武夫君 私がお尋ねしているのは、教育の問題というのは、国民全体、親たる者はみんなそれぞれの教育論を持っているわけですね。それで教育問題というのは、非常に専門的であるようですけれども、極めて一般的な議論ができるわけですね。それだけになかなか焦点が定まらないという難点がございます。
しかし、少なくとも安倍政権が教育を最大の政策課題にするんだとおっしゃっているならば、やっぱり政治がやれることというのは私はある程度限られていると思うんですよ、国民の心の中にまで踏み込むことはできないわけですから。しかし、その教育の環境、条件をどうやって整備するかということがやはり私どもの責任であり政府の責任だと。
このように考えますと、少なくとも安倍政権が教育を最大の政策課題だとおっしゃっていたんですから、学校教育法の改正をお出しになる以上は、現在の六三三四という学校制度をこのままでいいのかどうかという御議論が十分された上で、された上でお出しになってくるだろうと私どもは思っていたわけです。
私ども民主党としても、実はこれ大変な、六三三四という区切り方というのは、子供たちの発達段階に応じてどういう学校の体系がいいかというのは非常に難しい、専門的なやはり検討も必要な分野でありますから、民主党としても今国会に学校教育法の改正、実は出したいと思っていたんです。しかし、そこまでは残念ながら力が及ばなかったんです、大変な大きな問題がございますから。
しかし、政府が出してくる以上は、この問題に触れられなかったということは一体どういうことなのか、今後どうされようとしているのか、その具体的なお考え方をお聞きしたいんです。
- 国務大臣(伊吹文明君) 西岡先輩がおっしゃるとおり、教育というのは、率直に言って各々の人の価値観、それから政党のしたがって理念の在り方によって理想の日本人像というのは違ってまいりますから、すべての人が一応のことは議論できる分野だと思います。それはお説のとおりです。そして、西岡先輩のかねてからの六三三四の切り方についての御意見も、西岡先生の御意見としては私は承知はいたしております。
しかし、今回の改正教育基本法でも、例えば義務教育の年限というものを必ずしも法律の中で明示はしておりませんですよね。それは、今後いろいろ議論があることも当然想定をいたしておりますし、同時に、子供の発達段階が極めてスピーディー、スピードが上がってきておりますから、六年という切り方がいいのか、あるいはその前の何年かを使うのか、あるいは義務教育ということになると高等学校の問題をどうするのか。高等学校というのは、実は、御承知のように今回の教育基本法の中にも高等学校という項目をあえて設けていないのは、ある意味では御批判があるかも分かりませんが、我々も我々なりにいろいろなことを考えているということです。
そこで、今回学校教育法を出すときに、六三三四というものを考えて出してこなかったじゃないかという御批判については、これは、今それは確かに大切なことではあるんですけれども、緊急にやらねばならないことを我々はお願いしているんで、そのことを決して検討していないとか、ほうっておいていいというふうに思っているわけではありません。
ただ、これは何度も申し上げているように、ある程度六三三四というものが定着をしているだけに、これを動かすにはかなり国民的な合意も要るでしょうし、また、義務教育化していく場合は財源の問題も必要になるでしょうから、これは、だけれども、必要なことがあれば、学校教育法というのは別に、教える内容だとかなんかはともかく、制度的な問題については国民的な合意ができ上がれば来年またもう一度やったって構わないわけでして、国会はそれぐらいのやはり国民に対する責任と自信を私は持ていただいたらいいんで、今回出したのに入っていなかったからどうだということは、これは先輩に対して大変失礼なことかも分かりませんが、私はそうこだわっていただかなくてもいいんじゃないかと思います。
- 西岡武夫君 いや、私がそういうことを申し上げているんじゃなくて、安倍政権の文部大臣として教育を最大の政策課題に掲げておられる以上、学制の、学校制度の問題は避けて通れないだろうと、しからば、どう具体的にお考えなのかと。先ほど申し上げたように、私ども民主党としてもこれの検討に入り掛けているんですよ。ただ、答えがでてないんです、正直に申し上げて。
私は個人的な考えがございます。しかし、民主党として国会に提案するまでには至っていない。しかし、変えなきゃいけないと思っているわけですね。
今大臣もお認めになったように、子供たちの発達段階、心身ともに発達段階が大きく変わってきている。このことは今始まったわけじゃないんです。これまでも申し上げてきたことでございますけれども、私が文部省の政務次官をやりましたのが昭和四十五年から六年にかけての一年半でございますけれども、その間にあの有名な四六答申と言われている、森戸辰男先生が中教審の会長であられて、第三の教育改革と称した答申を出されたわけですね。そのときから学制改革の問題は提起されているわけです。長い歴史があるわけです。
そして、これもこの前どこかの委員会で、何日かの委員会で申し上げたんですけれども、昨年だったと思いますけれども、文部省は、当時の文部省、その後の文部省も研究指定校というのを設けて、特に私学の場合には、御承知のとおりに幼稚園から大学まで持っている私学がたくさんありますから、私学の場合には中高一貫の実験といいますか、研究をやるということは非常に簡単なんですね。
したがって、私学に対しても研究指定校としていろんなデータを集めて、文部科学省には膨大な私はデータがあると思うんです。その上に立って、学制改革をどうお考えなんですかと申し上げているんです。あるいは、お考えがないのかどうか。それを国会に振ってこられていますけれども、それは私どもが近く考えまとめますけれども、政府はどうなんですかと申し上げているんです。
- 国務大臣(伊吹文明君) 政府としては、今回は現在の六三三四を前提にお願いをしているわけですから、当面これで行くということです。そして、しかし将来についてどうするかということはいずれ検討しなければなりませんが、先生も文部大臣をおやりになって、政権与党の中においでになったから、これは私がこういうことを申し上げるまでもないことですけれども、時間との闘い、予算の制約の中でどれにプライオリティーを置いて政策を提言していくかということですから、当面は政府としては六三三四という前提で今お願いをしている。しかし、その中で緊急にやらねばならないことを取りあえず三法案としてお願いしたということです。
- 西岡武夫君 いや、私が申し上げているのは、今国会にお出しになっていないということはもう明らかですから、そのとおりなんですけど、将来は分からないとおっしゃったですね。将来といっても、安倍政権が教育改革を最大の政策課題にしておられるんですから、学制改革は避けて通れないと思うんです。避けて通れないと思うんです。
じゃ、避けてお通りになるんですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) これはちょっと西岡先生のホームグラウンドに引っ張り込まれちゃ困るんですが、六三三四という制度を変えるのが教育改革であるとは私は思いません。それも重要な一つかも分かりませんが、安倍総理が考えているのは緊急にやらねばならない今の三法案を取りあえずお願いしていることで、教育再生を言う限りは、あるいは最優先課題としている限りは、六三三四の制度を変えて持ってこなければ教育改革にならないとは私は思いません。
- 西岡武夫君 じゃ、それでは申し上げますけれども、この教員免許の更新制も、大臣、本来なら、本来なら教員養成のところをしっかりすべきだと。これには、大臣、賛成されますか。
- 国務大臣(伊吹文明君) それは賛成いたします。それは再三答弁を申し上げているとおりです。
ただ、それをどういう形でやるかというのは、これはいろいろな制約の中でやるわけですから、今回の例えば出した法律の中にそれが書かれていないからけしからぬというお話では私はないと思いますよ。教員養成についてどうするかということについては、中教審のいろいろな御提言を受けて我々は我々なりに一応、中教審の御提言の中で準備をしていることについて必要があれば参考人から答弁をさせますが。
例えば、民主党さんの御提言のように修士、つまり六年制にしなければ教員養成に手を付けてないんじゃないかということにはならない。それは、六三三四に何らかの手を付けて出してこない限り最優先課題であると言っているのに手を付けてないじゃないかという論理と一緒で、私は必ずしもそうとは考えておりません。
- 西岡武夫君 大臣、私が先ほど冒頭に申し上げたように、安倍政権の教育改革の全体像はどうなっているのかと申し上げているわけですね。場当たり的にやれるところからやっていこうということじゃ本格的な改革とは言えないと思うんです。
教員養成の問題というのは、これは私は教育の基本的なところだと思うんですね。それは大変だから、予算とかいろんな制約があるからとおっしゃっているけれども、だからこそ安倍総理は教育を内閣の最大の政策課題とおっしゃっているこのときにやらないで、いつやるんですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 例えば、西岡先生が考えておられるのは、それで私は何らそのことに反論はいたしませんよ。しかし、考えておられるとおり安倍さんが出してこなければ教育再生の熱意がないじゃないかとおっしゃるのは、少し違うんじゃないですか。
例えば、昨年七月の中教審の答申はどういうことを言っているかといえば、教職の意義や生徒の理解、教科指導力等教員に必要とされる基礎的な資質について最終的に確認するため、教職課程の総仕上げの科目として教職実践演習を必修化する。教員養成を行う大学に対する是正勧告や認定の取消しの制度化をする。大学と教育委員会の連絡協議会の設置等により、教育実習の改善充実を図る。新たな教員養成の一形態として平成二十年度より教職大学院を開設すべく既に必要な措置を実施すると。こういうことを重ねているわけですよ。
ですから、我々は何も教員養成が不必要だとかやらなくてもいいなんて言ってるわけじゃないんです。それは先生がおっしゃっているとおり、教員というのはやっぱり一番教育の中のコアの部分ですからね、それは同じ気持ちを持っております。そして、いずれ、来週になると思いますが、いわゆる骨太の方針というものを政府が発表をするでしょう、安倍内閣としてですね、閣議決定をして。その中にも、今回はやはり安倍総理の考え、内閣としての考えがにじみ出るように教育再生という大きな項目を立てて、かなりやれることを私は書き込んだつもりでおります。
ですから、民主党さんの案は案として今後も我々も参考にさせていただきますけれども、今申し上げたようなことじゃなくて、予算をきちっとまず確保して、そして六年制にしてということは、それはそれで一つの大切な御提言だと思いますよ。しかし、そういうことをすべてセットしないと教育再生のスタートができないような話になっちゃうと、とても、時間との闘いで、そこまでの余裕はないということを申し上げているわけです。
- 西岡武夫君 それでは、安倍政権は教育改革の全体像はお持ちなんですね。
- 国務大臣(伊吹文明君) それはもちろん持っているわけですよ。いるけれども、西岡先生が考えておられるようなプレゼンテーションをしなければ持っていないということにはならないでしょう。
- 西岡武夫君 しかし、全体像を国民の前に示すのが当然なんじゃないですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) いや、簡単に言えば、それは安倍首相が施政方針演説や所信表明で申し上げている、基礎的な学力と、そして規範意識を十分身に付けた日本人を育て上げるというための教育の諸改革を行っていくということに尽きるわけです。
それをどういう形でやっていくかというのは、毎年毎年の予算、今までの法律、国民の理解、こういうものを考えながらやっていくわけで、私が野党なら、それは西岡先輩がおしゃったのと同じような攻め口をしますよ、それは。しかし、それをすべてそろわなければ教育再生にならないんじゃないかということは、それはちょっと私は違うと思いますね。
- 西岡武夫君 いや、私は野党だから、別に責めているんじゃなくて、聞いてるだけなんですね。
私はこの前の委員会でも申し上げたんですけれども、そうおっしゃいますけど、自民党政権の中で中曽根政権のときにやはり教育改革というものを大きく打ち出されたときがあったわけですね。そのときには全体像をお示しになったんですよ、総選挙を前にして。だから、示せないというはずはないんですよ。お持ちならお示しになるべきじゃないですか。持たないなら持たないとおっしゃったらいい。
- 国務大臣(伊吹文明君) 再三申し上げているとおり、それは総理が先ほど申し上げたような日本人をつくっていく上で今の教育の在り方は必ずしも適切じゃないと考えたから、まず教育基本法を改正をし、何を教え、新しい時代の教育の理念は何かということをまず明確に政府としては国民の代表にお示しをして、国民の代表がそれを認めていただいたんじゃないんですか。ですから、教育基本法に従って私たちは必要な法律の整備をし、予算を整備をし。
それなら私、逆に非常に疑問に思うのは、中曽根内閣のときには全体像を示したとおっしゃいましたけれども、そのときは教育基本法は変わっておりませんね。教育基本法を変えたという国権の最高機関の意思そのものがこれからの教育にどう取り組んでいくかという一番大きな意思表示の具体像じゃないんですか。
- 西岡武夫君 今回改正されました、全面改正というふうにおっしゃっていますけれども、教育基本法は、そういう具体的な教育改革の中身については触れていないわけですね、理念だけですから。ですから、それを受けて、少なくとも内閣は教育改革の全体像をまずお示しになる必要があったと思うんです。それを持っておられるからこそ、教育改革、教育基本法の改正ということに乗り出されたんだと私は思っているわけですね。そこのところがちょっと私には理解できない。
しかし、大臣のお立場でこれ以上おっしゃれないんでしょうけれども、一つはっきりさせておきたいことは、先ほど私が森戸辰男先生の中教審の会長のときの答申、四六答申のことを申し上げたんですけれども、私は、元々、審議会であるとか教育再生会議だとか諮問会議だとか、こういうやり方は私は間違っていると思っているんです。
と申しますのは、政府がこういう考えを持っていると。ついては、それこそ専門家の皆さん方に、例えば学校制度を変える場合でも、教育学から児童心理学から、あらゆる専門の分野の方々にお集まりをいただいて、学校の区切り方をどうしたらいいのかということは検討していただくと。しかし、基本的な方針は政府が示して、こうやりたい、これを具体化するためのどういうやり方があるかということを検討してもらいたいと。テーマは、問題点は明確に政府が、政治が示して、そして専門家の皆さん方の意見を聴くと。ところが、今は逆転しているじゃありませんか。このやり方は、官房長官、どうお考えですか。
- 国務大臣(塩崎恭久君) 教育再生会議につきましてはもう何度か申し上げたところでございますけれども、安倍総理の教育改革に懸ける、あるいは教育再生に懸ける思いを持ってこの十七名の方々と一緒に議論をしようということで、閣議決定によって設けられたものでございます。
様々な立場の方々が構成員としておられて、その中で様々な議論が行われ、当然、文科大臣そして私も入り、当然総理も入って自由な議論を行っているわけであります。
報告書が二回提出をされておりますけれども、これに基づいて文科省において法律改正が必要なもの等々については正式な審議会である中教審、ここで御議論を改めてまたいただいて、そこで再生会議で示された問題点は問題点として正面から受け止めていただきながら、また中教審としての検討を加えていただいて、今回、三法案として法律を御審議をお願いする形になって、内閣の責任においてこれを閣議決定して提出をさせていただいたと、こういうプロセスであるわけでございます。
したがって、教育再生会議の位置付けというのは、今申し上げたように、自由な意見を幅広く行っていただき、それを参考にしながら、また文科省において文科省の範囲の法律改正についてはその中の意見も取り入れながら、あるいは参考にしながら、文科省なりの考え方、そして内閣としての考えで最終的には法律としているという、そういうプロセスではないかというふうに考えておるところでございます。
- 西岡武夫君 私は、政府が、すなわち政治がこの問題はこうしたいと、これを具体化するための方策について専門の皆さん方にお集まり、まあ私、再生会議がいいか悪いかはちょっと分かりませんけれども、中教審にしても、専門家の集まっておられる会議で具体化するに当たっての具体的な方策については御議論をいただくと、これが私は政治の筋だと思うんです。今はどうも逆転していると思うんですよ。官房長官、いかがですか。
- 国務大臣(塩崎恭久君) 先生おっしゃるとおり、政治のイニシアチブというのは、政治がやはり方向を指し示さなければならないというふうに私も考えているところでございます。
教育再生会議にあっても、総理は初回の会合で自らの考え方、今、伊吹大臣からも申し上げましたけれども、骨太の教育再生に関する自らの考え方を示し、そしてできる限り、可能な限りこの教育再生会議に出て、総理も自らの言葉で自分の考えを政治のメッセージとして再生会議に伝えているわけであって、それを受けてまた再生会議のメンバーが自由な御議論をいただいて、それからさっき申し上げたようなプロセスであるわけでありますので、先生おっしゃるように、政治のリーダーシップというのは、やはり政治家が指し示さなければいけない。その方向性については要所要所で総理からもきっちりと出ていると私たちは思っているところであって、おおむねその方向は大きなうねりになっているというふうに私は思っていますが、それはいろんなメンバーに集まっていただいていますから、必ずしもそうなっていないと思っていらっしゃる方もそれはおられるでしょう。しかし、一億三千人いれば一億三千通りの考え方があるわけでありますから、みんなが同じ方向を向くということは多分ないんだろうと思います。やっぱり自由闊達な議論、そして、別に文科省だけに限られたような問題だけで教育の問題というのは語れるわけではないので、幅広い立場で議論をいただいている。根っこはやはり総理の問題意識、政治家としての考え方が示されている、その中で議論が行われているというふうに考えております。
- 西岡武夫君 いや、私はちょっと実はそう思わないんですね。再生会議だけを別にやり玉に上げているんじゃなくて、諮問会議もそうです。小泉さんのときの諮問会議というのは、ある大臣、その大臣が諮問会議に呼ばれると、これはその大臣がおっしゃった言葉ですから私は本当は使いたくないんですけれども、お白州の場のようだったと、そういう状況で進んだわけですよ、小泉政権というのは。
私は、少なくとも政治がこういう方向で教育改革はやるんだと、ほかの政策も全部そうですよ、それを示した上でいろんな意見を承りたい。ところがそうじゃないでしょう、今の状況は。
私は、この間ちょっといろいろ振り返ってみて、私が当選してから何人の総理大臣と相まみえたかなと、ずっと振り返ってみたんです。十七人の総理大臣と私は、お付き合いをしたという言い方は、ちょっと濃淡がございますからこれは語弊がございますけれども、その中のある総理が、もうお亡くなりになっておられますけれども、私が、大先輩ですよ、審議会というやり方は政治の責任回避じゃないかと私は思います、全部やめたらどうですかと。そのために国会があるんだから、政府がきちんとした法案を、政策を出して、それを生で国会で議論するのが国会でしょう、審議会というところで何か世論操作みたいなことをして国民をごまかすというのは良くないとあえて申し上げたことがあるんです、総理に直接。そしたら、その総理は何て言われたかというと、西岡君、そうはいっても審議会というのは便利な存在なんだよと、そう言われたんですよ。二人っきりの話ですから、まあ、もう時効だろうと思って申し上げているんですけどね。
私は、審議会というやり方は私はもう全面的に反対なんです。責任の所在がはっきりしないんです。官房長官、どうお考えですか。まず官房長官から。
- 国務大臣(塩崎恭久君) 先生のおっしゃりたいことはよく分かります。それは、審議会がどういう役割を果たしているのかというのにもよるんだろうと思います。
その亡くなられた総理がどういう意味で便利なものだとおっしゃったのかはよく分かりませんが、それは自らのやりたいことをやってくれるというならば、それはそれで総理にとっても国にとっても、民主的なプロセスで選ばれた総理である限りは、それはいいことではないかなと私は思っています。
しかし、先生のお気持ちはよく分かりますが、最終的には、やはりこれは、閣議で法律というのは決めて政府提案の場合にはお出しをするわけでありますから、審議会が何を決めようとも、最終的に閣議がどういうことを言うのか、あるいは大臣がまずその審議会をどう、操ると言っちゃいけませんが、どう扱うか、どう扱うか、(発言する者あり)いや、どう扱うかによるわけであって、どういう付き合い方をして、どういう役割を演じてもらうものとして審議会を置いておるのかというのに懸かっているわけで、都合のいいというのが霞が関のお役人にとって都合のいいことであるならば、これはとんでもない話だろうと思います。国のために役に立つというならば、それはそれで役立っているということだろうと思います。
したがって、それは一概にはやはり言えないことだろうと思うんですが、往々にして、往々にして審議会というのは何となくシナリオが決まっていて、それも政治が作ったシナリオではなくて、そうじゃないところで物事が決まって、それに政治が振り回されるということであれば、それはとんでもない話だと思いますから、そういう意味で、先生の言っている意味がそういう意味であるならば私も同感であります。
しかし、教育再生会議にしても何にしても、最後は閣議で決めていくのが内閣としての最終判断でありますから、そこで本当に政治が機能しているかどうかというのが分かってくるわけだし、そこの最終的な責任者は総理大臣でありますので、その判断が問われるということではないでしょうか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 先ほど来、西岡先生がおっしゃっている、例えば教育再生について六三三四のお話もありましたし、教員養成の六年制のお話もありました。政治主導ということもそれと同じで、先生のおっしゃっていることは私は何ら反対じゃないんですよ。しかし、まず政府が何らかを示してやらなければ政治主導にならないという西岡グラウンドで私は話をするというのはちょっと危険だなということを再三申し上げているわけです。(発言する者あり)いやいや、それは先生のテリトリーに入っていっちゃ、それは同じ政治主導だってやり方がいろいろあるわけですから。
ですから、私は、経済財政諮問会議に呼ばれたときにこういうことを申し上げました。予算というのは、内閣を構成する各閣僚が共同して責任を負ってこれを国会に提出をして、国会の御議決を得て執行されるものであると。したがって、予算というのは安倍内閣の全施策を金銭で表示したものであるから、安倍さんが教育再生を最優先の課題と言われるのならばそれがにじみ出るものでなければならないんであって、最終的に決めるのは内閣でありますと。そして、内閣の長である総理が決断をすることでありますから、その点は間違いのないようにしていただかなければならないと。
今官房長官が申しましたように、再生会議はいろいろ御提言がありますが、まず総理がこれをやりたい、中曽根内閣のときだって学区制をどうしろとか、そんな細かなことまで御提案になっていなかったと思いますよ。やはり、教育を再生していきたい、そして根本から直さなければいけない、どうだと、いろんな御意見があって私は構わないと思います。しかし、その御意見を過去の経緯、あるいは法律の在り方、予算の制約、その中でどうしていくかということは内閣が決めることです。内閣が決めて国会にお願いして、最後は国会が決めるんですよ。それが日本の憲法上の政治の在り方、統治の在り方であって、政府が何かを示さなければ政治主導ではないんじゃないかという西岡グラウンドで議論は私はしなくてもいいんじゃないかということを申し上げているわけです。
- 西岡武夫君 いや、私が言っていることとちょっと食い違いがきているようでございますけれども、安倍政権が教育改革を政策の第一課題とするんだとおっしゃっている以上は全体像を政権が示すべきだと、そう申し上げているんですよ。何でもかんでも政府がやってくれって言っていないんですよ。
何でもかんでもやってくれというんだったら、私どもが昨日国会に提出した、俗に言う夕張法案ですけれども、夕張だけが対象になる、現時点では対象になる、財政が破綻した市町村における義務教育を国が責任を負うというのを具体的な法案として提案をして、大臣のお手元にも差し上げてございますけれども、これは本来なら、本来なら安倍政権が考えてよさそうな私は施策だと思っているんですよ、本当は、本当は。しかし、なかなか腰をお上げにならなかったので、あえて私ども民主党から法案を提出させていただいたわけでございますけれども。
何もかも政府がやるべきだとは言っていないんですよ。政治の責任というものを明確にすべきだということを私は申し上げているんです。これについては伊吹大臣は御賛成でしょう。
- 国務大臣(伊吹文明君) 政治が最終的に責任を負って物を決めていくというのは、私が賛成というよりも、日本国憲法がある限り当然のことだと思います。
- 西岡武夫君 教員養成の問題が非常に私は大事だというふうに思っているわけですけれども、今回、教育基本法を改正して、第一弾として学校教育法を始めとする三法案を出してこられたわけですね。これは第一弾ですね。第二弾はあるんですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 既に省内では、あと三年ほどの中で社会教育法、大学法その他、どういうスケジュールでやっていくかというものは持っております。持っておりますが、これは、やはり内閣として最終的に意思決定をして国会へ法案を出していかねばなりませんし、あるいはまた、それこそ我々は、政治主導とはいっても、憲法の規定に従った総選挙で選ばれて議院内閣制をつくっているとはいえ、野党の皆さんもいらっしゃるわけですから、広く国民の意見を聴くという観点からは中教審にも当然かけねばならない、国会での御議論も参考にしなければならない。したがって、今これをどういうスケジュールで、どういうふうに考えているかということをここで申し上げるというわけにはいかないと思います。
- 西岡武夫君 具体的な問題について御質問いたしますけれども、前回もちょっと触れたことでございますが、同僚議員から再三にわたって教育現場の実態等についての質問がございました。これで大臣も教育現場がいかに大変かということについては、当然そのように同じ御認識になられたと私は思っています。
それを前提として申し上げるんですけれども、この前も私は総理にも申し上げたんですけれども、今の状態のままでまいりますと、行政改革推進法の制約があって学校の先生を増やしたいと思っても増やせないと。増やせない、それを何とかカバーしようということになると、事務職の定員を食っちゃうということになりかねない。予算措置で何かするといっても、これは限度があるわけですね。そして、これは地方自治という問題と非常にかかわる難しい問題でございますけれども。
昨日でしたか、どこのテレビの放送だったか私、ちょっと記憶が定かでないんですけれども、ある二つの裕福な財政の市町村と非常に困窮している市町村の学校の図書費の比較の放送がございました。これは交付金の中に入っているものですから、使い道は地方自治体に任せられている。そのことによって格段の差が図書費に起こっていると。ですから、この委員会でも、いまだに地図を、ロシアはソ連邦の地図を使っているとかですね。ところが、昨日のテレビ見ていましたらば、そこに置いてある学習の資料の中には西ドイツ、東ドイツとあるんですね。それをいまだに使っているわけですね。こういうことが起こっている、現に。
ところが、これを実際問題としては、文部科学省としてはどうしようもないわけでしょう、今の制度では。ちょっとお答えください。
- 国務大臣(伊吹文明君) 先生、二つの問題をおっしゃったと思います。二つとも予算あるいは行革推進法に係ることでございますので。
まず、同僚の与野党の先生方から学校現場の状況についてお話をいただきました。それで分かったわけではありません。文科省としては文科省の実態調査をいたしております。そして、各先生からお話しいただいたことで、我々の調査の数字が実態的にも間違ってなかったなという確信を深めたわけでございます。
それで、確かにおっしゃるように制約がございます。ですから、これをどうするかというのは、何も経済財政諮問会議に決めていただく私は筋合いのものではないと思いますが、最終的に閣議決定をいたしますので、骨太の、骨太案というのは。ですから、閣議決定する限りは、各国務大臣は当然それに縛られるわけです。そのことはるる申し上げて、総理も総理としていろいろなお考えを持っておられますから、最終的には予算編成過程でいろいろお考えになると思いますが、十九日になりましょうか、あるいは来週の金曜日になりましょうか、官房長官の方がよく御存じだと思いますが、閣議決定をした骨太の方針二○○七から今先生の御懸念のようなことが解消できるように読み取れるかどうかということを、どうぞひとつ眼光紙背に徹して読んでいただきたいと思います。
それから、ただ、それで予算が決まるものではございません。予算というのは概算要求基準がありまして、各省が八月末までに予算の調整書を財務大臣に提出をして、そして年末までに予算編成過程があって、最終的に内閣が閣議決定をして予算案を国会に提出いたしますので、今おっしゃったことごとも、あるいは国会のいろいろな御注意も踏まえながら、予算編成に臨むときに制約にならないような骨太の方針であってもらいたいと思って最大限の努力をしたということでございます。
- 西岡武夫君 大臣、この前の委員会でも申し上げたんですけれども、行政改革推進法の第五十五条第三項、御丁寧に、これはもう二度目なんですけれども、御丁寧にですよ、子供たちの数が減っていると、減っている数を上回る学校の先生の削減をすると書いてあるわけですね、法律に。
これがある限りどうにもならないじゃないですか、幾ら大臣がおっしゃっても。これをなぜ改正しないんですか。ちょっと、官房長官にちょっとお答えいただきたいんですけれども、先に。
- 国務大臣(伊吹文明君) これを改正するかしないか、改正するときにどのような改正の、あるいは実質的にこれが機能しないようにするためにはどのような立法政策上の措置をとるかということは、まだ何も決まっていないんじゃないんですか。先生は改正しないと、改正しないとおっしゃった。私は今改正するとは申し上げておりませんが、改正しないとも申し上げていないはずですよ。
- 西岡武夫君 これは異なことをおっしゃるんで、私は改正すべきであると、そうしなきゃどうにもならないじゃないですかと申し上げているんですよ。それはどうなんですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) ですから、現在のままでは定数を増やすということはこれの縛りがあるからできないということは再三同意をしているわけでしょう。これをどうするかということは今後の問題じゃないんですか。
- 西岡武夫君 これは考える余地もなく改正しなきゃ駄目ですよ。なぜ今国会で五十五条三項を、ほかにもありますよ、五十六条三項、四十三条、いろいろありますよ。それを放置したままいろいろおっしゃっても全然説得力ないじゃないですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 先生、それは私より政治歴が長いんだから、予算編成のプロセスの事はよく御承知でしょう。来年からもし定数を増やすということが行われるんならば、予算関連法案として法案は変わっていくんじゃないんですか。
その前提で最大限の努力をするために、今いろいろ私は私なりに、官房長官は官房長官なりに、安倍さんは安倍さんなりにいろいろな思いをもって努力をしているんじゃないんですか。この国会に出さなきゃすべてができないんですか。そんなことはないと思いますよ。それは出した方が分かりやすいということはいいですよ。だけど、常に西岡グラウンドの論理構成の中へ引っ張り込まれようとしても、そうは私は入っていく勇気はございません。
- 西岡武夫君 それじゃ、大臣にお尋ねしますけれども、大蔵省の御出身でもあられるから、もしもこの法案があったまま教員増の概算要求はできるんですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 概算要求をするときは、多分、概算要求の最終的な結果によって別途法案審査を受けて、予算関連法案が国会に提出されるんじゃないんですか。それは先生の今までの御経験でそうだと思いますよ。
ただ、そのときに、当該法律案を改正するのか、他のいろいろな立法上の技術を使うのか、いろんなやり方がありますし、あるいは私がこういう事を申し、私は私の思いを持っていても、内閣が更に高いプライオリティーを持っているものがあれば私の思いは通らなくなるかも分かりません、それは。ですから、今そのことについて、塩崎さんどう思っている、伊吹どう思っているということは、それは先生が文部大臣をやっておられたときでもそういう聞き方をされれば、それは予算編成過程の今後の推移にまつことだというお答えを当然なすっていると思いますよ。
- 西岡武夫君 いや、私が申し上げたのはそういう意味じゃないんです。
大臣が、伊吹大臣が、この行政改革推進法五十五条三項をこのままにしておいたままで、概算要求で、第今度は八次になるんですか、八次が凍結されているから、教職員の定数改善の計画を策定して、初年度の予算要求をするというのを八月までにまとめられるんですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) これは先生、先生の長い御経験でもよくお分かりのように、予算には最後の折衝というのがあるんですよ。ですから、そこに調整枠というものは当然あるんです。ですから、政治的決断が十二月に行われれば、その政治的決断と相入れない法改正というものは当然行わねばならないんですよ。概算要求のときにすべてを概算要求しているんならば政治折衝枠とかいうものは要らないんですよ。ですから、安倍内閣が最終的にどう判断するかは総理が御決断になることですから、私はとやかくは申しませんけれども、私は先生と同じ思いで努力はしたいということを申し上げているわけです。
- 西岡武夫君 大臣が、伊吹大臣が今この場でこれ以上踏み込んだことをおっしゃれないお立場だというのは分かっているんですよ。ただ、大臣は、いかにも何かのり代があって、そこで泳げるんだと言わんばかりのことを、言わんばかりって、もうおっしゃっているんですけれどもね。のり代に頼って文教行政は進められないんですよ、大臣。
- 国務大臣(伊吹文明君) これは私の表現力が悪いのか、先輩が私の言葉を理解していただけないのかは分かりませんが、法治国家である限りはのり代などというものはあり得ないんじゃないんですか。だから、さっきから私はそう答弁をいたしております。
- 西岡武夫君 大臣、年末の予算折衝ではのり代があるかのごとくさっきおっしゃったじゃないですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) それは人員のことを言っているわけじゃないんですよ。まず、仮定の問題として、定数を増やせば当然その定数に伴ってくる義務教育国庫負担金、給与の三分の一を金額で表示されるわけでしょう。そして、残りの三分の二が地方交付税の中に入ってくるわけですから、交付税の算定基準の中に入ってくるわけですから、それが決まる。その金額が決まれば、そこに従って人員が決まり、法律改正ということはあり得るという予算編成上の技術のことを申し上げているんで、人員ののり代の話なんか一度もしておりませんよ。
- 西岡武夫君 それじゃ、官房長官に念を押したいと思うんですけれども、安倍政権が続くのかどうかよく分かりませんけれども、年末まで、年末の予算折衝の際に、今、伊吹大臣がおっしゃったように、仮に予算的な各々話が付いたと。ところが、私のこれまでの経験からいうと、行政改革推進法という、この文部科学省だけではない、内閣全体を縛った法案ですから、その中の文部科学省にかかわる部分だけを取っ払ちゃうというふうな、そういう芸当が、予算的な合意だけをまずやっておいた上で通常国会にその法律改正を出すというようなことはあり得るんですか。
- 国務大臣(塩崎恭久君) 一般論で言わざるを得ないと思いますが、そもそもこの行革推進法は去年の六月に通ったばかりで、まだ一年しかたっていない法律でございます。様々な議論をこの国会でしていただいた上で通った法律で、網羅的に様々なことが書いてある行政改革に関する法律であるわけでありますが、いわゆるプログラム法とよく呼ばれておりますけれども。
一方で、予算編成は、あくまでも、今お話がありましたように、概算要求基準を設け、そして予算編成の基本的な方針を設け、そして年末に予算の政府案が決まって、そして国会に提出、出された上で御議論をいただいて通る、成立をすると、こういうプロセスを経るわけでありますから、これはもう予算の中で部分的に、今仮にどこかの項目の予算獲得が、増加が見込まれるとか見込まれないとかいうようなことを言うこと自体もう、予算というのはやっぱり全体であります。この行革推進法が全体のことを言っているのと同じように予算も全体でありますから、今から予断を持ってどこどこの分野についての予算が増えた場合にどういうふうになるのかというような仮定の話になかなかお答えしづらいなというふうに思うところでございます。
- 西岡武夫君 要するに、伊吹大臣がいろいろおっしゃったけれども、官房長官としてはこれを担保できないという意味ですね。
- 国務大臣(伊吹文明君) 西岡グラウンドへちょっと引き込まないように公正にお話をしたいと思うんですが、私が申し上げたのは、私が申し上げているのは、予算の編成のプロセスとして、今ここで行革法を殺さないと予算要求ができないぞとおっしゃったから、それは違いますよということを申し上げているんです。ですから、予算の要求を我々がするか、しないけれども、予算の調整枠で最終的にある事柄が決まって、その事柄が既存の法律と違うということであれば、既存の法律を変えるということを予算関連法案として出していくということは、当然の従来の予算編成のプロセスとしてあり得ると言っているわけですから。
今、だけれども、先ほど来申し上げているように、内閣としては、私は私の立場を主張しますよ、内閣としては大きな財政再建その他のことがあって私の言い分は通らないかも分かりません、それは。しかし、私は、この大臣をしている限りは私の主張を申し上げますと。主張を申し上げるときは、西岡先輩がおっしゃったように、この国会に、行革推進法を殺さずに予算編成ができないじゃないかというような日本の予算要求の仕組みにはなっておりませんということを私は財務省の主計局にいた経験から申し上げたということです。
- 西岡武夫君 いや、私は、行政改革推進法というのは、法律にどの法律が重要でどの法律が重要でないかというそういうことはないんですけれども、すべての法律はすべて重要ですけれども、非常に大きな意味を持っている法律であると。
したがって、今の大臣のお話を承ると、この法律はあるんだけれども、行政改革推進法あるんだけれども、文部科学省としては自分が大臣である限りは概算要求としてきちっと出すんだと。
- 国務大臣(伊吹文明君) いや、そんなこと言っていません。
- 西岡武夫君 だって、出せないことないとおっしゃったじゃないですか。
- 国務大臣(伊吹文明君) 出すか出さないかは、これは私が判断すればいいことですが、年末の概算要求のときに内閣としてどういう決定をするかというときにですよ、もしも増員の話の予算があったとすれば、方向性としては当然今の行革推進法を次の予算国会に何らかの形で、この法案を改正するかどうかは分かりませんよね、これも立法技術がいろいろありますから、いろんな形で出してくるということは方向性としてあり得ることだと。
だから、先生がおっしゃっているように、この国会に法律を出さなかったら概算要求はできないじゃないかとか、概算要求の中に増員の人件費を入れておかなかったら年末の予算編成のときにできないじゃないかとう性格のものでは予算編成というのはありませんよということを申し上げているわけです。
- 西岡武夫君 私は、これは、別に学校の先生の定員を増やすというのは奇をてらった政策でも何でもないんですね。正々堂々の予算要求ですよ、文部科学省としては。したがって、八月の概算要求に出せないという代物ではないんですよ。その障害にこの法案はなっているでしょうと申し上げているんですよ。
- 国務大臣(伊吹文明君) それは西岡グラウンドのお話で、私はそうは思いません。これは、私は文部科学大臣ですからね、初等教育の教員の給与だけの担当大臣ではありません。大学のこともあれば、科学技術のこともあります。その予算総枠について、すべて内閣としての一定の概算要求基準が決まってくるときはどういう知恵を出すかというのは、これは私の仕事だということを言っているわけです。
- 西岡武夫君 もう一点お聞きしたいことがあるので、ちょっとこのあれはどうも、何といいますか、かみ合わないというよりも、大臣は分かっておられるんだと私は思うんですけれども、その苦しいお立場も私は十分理解しておりますから。
もう一つの問題について、どうも骨太方針なるものと関係が出てきそうなので申し上げますけれども、これは官房長官にもお尋ねしたいんですが、教育の場に市場原理というのは私は最もふさわしくないというふうに思うんですね。これは、官房長官、どうお考えですか。
- 国務大臣(塩崎恭久君) それは市場原理という言葉の定義にもよるんだろうと思います。資本主義でありますから、この国は市場原理が基本で動いていることは間違いないわけであって、その市場原理というときに何を指すのか、そして教育の分野にはその中のどういう要素は余り好ましくないのかということを言わないと、包括的に市場原理が教育にはすべて駄目だというのも、多分それは成り立たない論理ではないかなというふうに思います。
したがって、そこは丁寧にやっぱり考えた上で市場原理と教育の大切さの関係というものはよく考えていかなければ、オール・オア・ナッシングということではないんではないのかなというふうに私は思っております。
- 西岡武夫君 それじゃ、丁寧に申し上げますが、学問分野について市場原理は適切でしょうか。
- 国務大臣(塩崎恭久君) 大先輩に大変恐縮でございますが、まず第一に、今申し上げたように、市場原理というのはどういう定義か、それともう一つは学問分野というのはどういう定義か、両方正確にしていただかないとよく、判断が付きかねるということではないかなと、大変失礼ながら、そう思います。
- 西岡武夫君 これはまだ決定していない骨太原案の、これはマスコミに報道されている部分でございますけれども、大学・大学院の運営費交付金についての項目について、こういう議論がなされているわけですね。基礎的経費と競争的資金の適切な組み合わせということが指摘されているわけですね。
私は、あえて学問分野というふうに申し上げたのは、どんどん独立行政法人に国立大学がなってから民間の資金が入ってきている。これは結構なことだと思うんですけれども、しかし、これが余り進み過ぎると、特定の企業の研究機関みたいにある部分がなりかねないというのはちょっと問題だと私は思うんです。
それともう一つは、官房長官、これは官房長官に非常に関係のある問題ですから是非お答えをいただきたいんですが、市場原理、すなはち競争原理ですね、別の言い方をすれば。競争原理をそのまま学問分野に持ち込むと、直ちに答えが出る、研究成果が上がって何か商品化されるとか、そういうような分野にお金がどっと行って、懐妊期間が長い学問分野はおろそかにされると。あるいはなかなか哲学のように答えが出ないかもしれない、そういう分野がおろそかにどんどんどんどんされていくということは、学問的な危機だと思うんですね。これを申し上げているんです。市場原理の定義によるとかそんな、そういう話しているんじゃないんです。
官房長官、どうお考えですか。
- 国務大臣(塩崎恭久君) 学問には非常に結果が出るまでに長い時間が掛かったり、どう考えても、いわゆる世の中で言うペイしないというものがあり得ることは私も全く同感でございます。
先生が今お取り上げになられましたこの基礎的経費と競争的資金というのは、私たちが議論している限りは、それは支出をする項目としての基礎的経費とそれから競争的資金だと思うんですね、予算における。先生がおっしゃっている民間資金が独法になった後のいわゆる国立大学にたくさん来ていて、それが言ってみれば企業の論理と研究成果との間のリンクが余り強過ぎるのが好ましくないんじゃないかというふうに私は受け止めましたが、それはファイナンスの問題であって、我々が今ここで申し上げている競争的資金というのは、競争という言葉があるものですから何となく市場原理っぽく聞こえますけれども、これはすぐれてやっぱり評価、中身の評価の問題だろうと思います。
ですから、アメリカの、あるいはほかの国の競争的資金の、先生のおっしゃる懐妊期間、あるいは、ですからどのぐらいの期間出すかというのは、日本は極めて短いですね、一年ぐらいとか。ところが、アメリカの場合、例えば平均でも四年分の競争的資金を出すというようなことをやっているので、すぐれてそこはその研究の中身をどう評価するのかというのが多分一番の大事な問題であって、アメリカのNIHとかああいうところが予算三兆円近くあっても、八割がこの競争的資金の用に出ていく。そのときの一番大事なことは、その学問が本当に意味のあるものかどうかということを、この市場の話とかそういうことは別にして、懐妊期間が長かろうと短かろうと関係なく評価をきっちりするというところが一番大事なところだというふうに私はNIHなんかにも行って学んできたところでございます。
したがって、競争的資金であるから市場原理だということではなくて、むしろ、例えば若い人でもいい研究をしていれば競争的資金は必ず評価によって行くという世界をつくろうじゃないかということを今、大学・大学院改革では言っている、主張をしているところであって、このところ競争的資金は大分増えてはきておりますけれども、ほかの国に比べるとずっと少ないという現状で、固定的に経常経費的なものに行ってしまうものが多いんではないのかという批判があるというふうに我々は認識をしているところでございます。
ですから、先生のおっしゃるように、懐妊期間が長いものにお金が行かないということが傾向としてあるという世界はやっぱりこれは私も反対をしたいと思いますが、問題は、中身がどういうものかということの評価の物差しをちゃんと持っているかどうかというところが大事なのではないのかなと、私は文教政策は全くの素人でありますが、そのように思っているところでございます。
- 西岡武夫君 伊吹大臣にお尋ねしますが、学問の分野ではいろんな成果が出るとかということを超越した部分がありますね。これを国立大学たるものは見捨ててはいけないと思うんです。これについてのお考えを。
- 国務大臣(伊吹文明君) おっしゃるとおりだと思いますね。大学の一番の私はやはり使命というのは知的エリートを社会に送り出すことだと思いますから、すぐに産業化できるとかいうものだけをつくり出すというわけではないと思います。
ですから今回のいわゆる骨太の方針二〇〇七にも、先生がおっしゃっていることは多分、いわゆる競争的資金と言われる、自分のプロジェクトはこうだからここにお金を下さいと手を挙げて持ってくるお金を増やす余り、先生がおっしゃっている基礎的な部分に回るお金が減るというようなことがあってはならないということをおっしゃっているんだと思うんです。お金に限りがありますから、国民の税負担は無限ではありませんから、今先生がおっしゃったことをよく考えてやりませんと、例えば大学の運営交付金とか私学助成費が減っちゃって、そして競争的科研費が増えるということがあってはならないんで、今度の骨太の案にも、やはり先生がおっしゃった御心配を経済財政諮問会議の皆さんも十分しておられるんですよ。だから、そこに何て書いてあるかというと、基礎的な資金を十分措置した上でと書いてあるわけです。ですから、これは最終的に閣議決定までに文言が動くかどうか分かりませんが、先生のおっしゃったようなことを当然共有しておられます。
- 西岡武夫君 その点を伊吹大臣として、また塩崎官房長官もきちっと踏まえた上で取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。